[通常モード] [URL送信]

愛を…









――だれよりも、かれを想っていた














悠さんに連れて来て貰ったこの学園に編入して、もう1年になる

あの時、悠さんの胸でん泣いた“僕”は、弱い自分を変えたくて、自分とバイバイして“俺”になった


それから、世界は180度回ったかのように変わった――




人に嫌われていた俺は、人の好意を寄せ集めるようになった
と言っても、俺自身は何もしてないけどね
ただ、そこに居ただけなんだけど、俺は容姿がいいみたいで、いろんな奴が俺のことを好きになった
でも、どれも信じられなかったけどね

そんな俺は気づけば生徒会副会長になったんだ
その時は、まだ気づいてなかったんだ…この学園のことを




ある日俺は、男たちに犯されかけた…



腕を縛られて、口を塞がれて…何本もの手が体をまさぐって来て…もう駄目だ…って諦めようとした時、彼は来た
突然開いた扉の所に彼は立っていて、俺たちの様子を見てしばらく固まった後、突然俺の上に乗っていた人を殴り飛ばして、次いで他の人たちも殴り飛ばしてた
皆が気を飛ばしたのを確認して、彼らを教室の外に放り出して俺の所に来た


その時、俺は何がなんだかわからなくて、必死に服を握り締めて、固まっていた
そんな俺に彼は自分の上着をかけて、抱き寄せた…


「もう大丈夫だ」


大丈夫…?
そんなの見れば解るよ

でも、思ったよりも心に傷を負ってるみたい…
怖かった…怖かったよ…何もできないで、あの人たちに良い様にされるんだって…すごく辛いことをされるって…思って…でも何も出来なくて…っ
すごく怖かったんだっ

お願い…もうこんなこと無いから…今だけは…弱い“僕”に戻らせて――


「ふぅっ…うっうぇ…くっ」


声を殺して、いっぱい泣いて…泣いて…
見知らぬ彼にすがって、枯れるまで泣き続けた
そんな“僕”の背中を大きな手がずっと撫でてくれていた
それが、すごく心地よくて…温かくて…我を忘れてただ、泣いていた




(こんなに温かい腕は、悠さん以外知らない)




[*前へ][次へ#]

2/8ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!