愛を… 1 ――だれよりも、かれを想っていた 悠さんに連れて来て貰ったこの学園に編入して、もう1年になる あの時、悠さんの胸でん泣いた“僕”は、弱い自分を変えたくて、自分とバイバイして“俺”になった それから、世界は180度回ったかのように変わった―― 人に嫌われていた俺は、人の好意を寄せ集めるようになった と言っても、俺自身は何もしてないけどね ただ、そこに居ただけなんだけど、俺は容姿がいいみたいで、いろんな奴が俺のことを好きになった でも、どれも信じられなかったけどね そんな俺は気づけば生徒会副会長になったんだ その時は、まだ気づいてなかったんだ…この学園のことを ある日俺は、男たちに犯されかけた… 腕を縛られて、口を塞がれて…何本もの手が体をまさぐって来て…もう駄目だ…って諦めようとした時、彼は来た 突然開いた扉の所に彼は立っていて、俺たちの様子を見てしばらく固まった後、突然俺の上に乗っていた人を殴り飛ばして、次いで他の人たちも殴り飛ばしてた 皆が気を飛ばしたのを確認して、彼らを教室の外に放り出して俺の所に来た その時、俺は何がなんだかわからなくて、必死に服を握り締めて、固まっていた そんな俺に彼は自分の上着をかけて、抱き寄せた… 「もう大丈夫だ」 大丈夫…? そんなの見れば解るよ でも、思ったよりも心に傷を負ってるみたい… 怖かった…怖かったよ…何もできないで、あの人たちに良い様にされるんだって…すごく辛いことをされるって…思って…でも何も出来なくて…っ すごく怖かったんだっ お願い…もうこんなこと無いから…今だけは…弱い“僕”に戻らせて―― 「ふぅっ…うっうぇ…くっ」 声を殺して、いっぱい泣いて…泣いて… 見知らぬ彼にすがって、枯れるまで泣き続けた そんな“僕”の背中を大きな手がずっと撫でてくれていた それが、すごく心地よくて…温かくて…我を忘れてただ、泣いていた (こんなに温かい腕は、悠さん以外知らない) . [*前へ][次へ#] [戻る] |