[通常モード] [URL送信]

愛を…
11











夢を見た――






奏と二人でデートしている夢…
すげぇ幸せで、このまま時が止まってしまえばいいのにと願わずにはいられない夢


「大翔…」


「奏…」


伸ばされた手を掴んだ、その時、奏は泣きそうな顔で笑いながら言った


「違うよ…僕は奏さんじゃない…僕なんかと間違えたら、奏さんがかわいそうだよ?」


奏の姿がだんだんぶれて来て、何が起こってるのかわからず、掴んだ手に少し力を込めた
その時、奏の姿がだんだんと馨の姿になった…


馨!!

驚きで声を上げた…でも、その声は音にならずに消えていき
掴んでいた手をやんわりと離され、馨は泣きながら微笑んだ


「バイバイ、大翔」


そう言って俺に背を向け歩き出す馨…

待てっ馨!!

手を伸ばして追いかけようとしても、体が動かない、脚が前に進まない
呼んでも声にならないからか、それとも、もう俺のことなど気にならないのか、馨は振り向かない
そして、進む先にいた俺からは顔の見えない男に微笑みかけ、男に肩を抱かれ、馨は歩いて行った


待てよ、馨!!
誰だよソイツ!!
なんで、俺を見ないんだよ!!
何だよバイバイって!!
行くなっ
行くなよ!!




「馨ーーーーーーーーーーー!!!!」











「!!」

バッと目を開けると、そこは自分の部屋だった
最悪な目覚めだ…あんな夢見るなんて…


「くそっ…」


なんだよ…あの夢、ありえねぇ…
頬を伝う嫌な汗を拭ってるところで気づいた


「!!…馨!!」


そこに居たはずの馨が居ないということに…
腕の中にいたはずなのに馨がいない!!
居たはずのそこを触っても馨の温もりはない
いつからだ!?いつからいなかった?


「馨っ」


ベッドを飛び出して探してもどこにもいない


「馨っ」


浴室にいけば、馨は居なかったが床が濡れていた…タオルも湿ってて、ここに居たのはわかった

馨…どこに行った?





プルルルル――


浴室を出たとき、電話が鳴って、馨かも知れないと思って急いで見てみれば、奏だった



(それにショックを受けてる俺が居た)



「はい」


『おはよう大翔』


「あぁ…」


『あのさ、まだ馨そこにいる?』


「いや…あいつがどこ行ったのか知ってるのか?」


『馨言ってなかった?朝から友達のところに行くんだって』


「…そうか」


そのことを聞いて安心して、肩の力が抜けた
それから、奏といろいろ話をし電話を切った…ホッとしたからか直ぐには気づかなかった





玄関の棚に、鍵が置かれていたことに――










それから、馨と連絡が取れなくなった












大翔編
悪夢――End

[*前へ]

13/13ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!