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愛を…
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ピンポーン


自分の思いがわからなくなっていた時、インターホンが鳴り響いた
誰だ?わざわざ鳴らすなんて…
しょうもない奴だったら無視しようと思って玄関の覗き窓から外を見た
ら、そこには…


「!!」


そこには俯いた馨がいた
俯いていたからその顔色はわからないが、少し顔色が悪い…
思わず勢いよく開けそうだったが、そんなことしたら馨に当たる
そんなことしたくなくてゆっくり開いた

開けた音に気づいて馨が顔を上げた
でも、その顔は、最初こそ明るかったのにすぐに暗いものへと変わった…泣きそうに眉をひそめてる

なんで、泣きそうなんだよ?


「…入れよ」


その場で固まってなかなか中に入ろうとしない馨に痺れを切らして、中に促した


「お邪魔します」


暗い声で小さく言ったのを聞いて玄関扉から手を離した
俺も、馨も無言のままリビングまで行きソファに座りながら聞いた…


「なんで、勝手に入ってこなかった?合鍵もってんだろうが」


そう…合鍵が合ったはずだ
俺が、渡したんだから…付き合い始めて少ししたころに馨にあげた俺の家の合鍵
いつでも来れるように、入ってこれるようにと渡したのに、それを使ったのは最初のほうだけだった


「え?…あ、うん。ごめん」


いつも必ず俺に“ごめん”と言う
俺は理由を聞いてんだ!!その言葉が聞きたいんじゃねぇ!


「…ちっ」


なんでわかんないんだよ


「ごめん…」


俯き、また謝る馨に少しイラつきながら、もういいと制した


「……」


何も喋らずそこに立ち尽くす馨
それを見て、イラつきもどこかへと消えて、あの感情が帰ってきた
何かあったんじゃないのか?
あったから、自分から会いたいって言ってきたんだろ?


「で、なんの用だよ?」


少し言い方がきつかった…それは自分でも解った
でも言ってしまったものは仕方ない

俺の質問に、きゅっと唇を引き締め、まっすぐ俺を見てきた


「何だよ?」


意味のわからない行動に馨を見返すと、ゆっくりと馨が近づいてきた…いや、顔が近づいてきたというべきか…すぐに、手も伸びてきて、少し冷たい指先が俺の頬を触り、ゆっくりと顔もさらに近くなった…
唇に当たる馨のそれ…触れるだけの軽いキスをして、馨が口を開いた














「…抱いて…」




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あきゅろす。
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