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碧螺春の宴
白銀の少年と闇の約束を
「よーっしゃ終わりー!!!!!」
エディスは高々と叫んだ。
はっきり言って近所迷惑だ。
会議をしている奴らはいるかもしれないし。
仕事してる奴は大勢いるだろうし。
しかし、叫びたかったのだ。
何しろ―
「3週間ぶりに帰れるー!!!!!」
のだから。
シトラスには着替えとかこまごまとしたものを持ってきてもらっていたので会うこともまったく無かったというものではなかった。
だがギールとはずーっと会っていなかった。
シトラス情報によるとギールは昼間シトラスと仲良く(?)家事をして(させられて?)、夜何処かに出かけていくらしい。
(ちょっと・・・心配だからな・・・)
「さて、帰るとするか」



エディスは路地裏を通っていた。
するといきなりがたいのいい兄さんが跳んで来た。
「はあ!?」
エディスは目を剥いた。
すると次の瞬間、兄ちゃんが跳んで来たほうの壁が崩れた。
エディスは、その壁の向こうに何かを発見した。


「ギー・・・ッ!?」



「エディー! エディー!!」
「・・・・ギール」
どうやら自分は壁の破片を避けられなかったらしい。
「どうしてこんなとこに!」
「・・・や、家への近道なんだ。ココ」
膝を貸してもらっている身分でこんな事を言うのも失礼な気がするが・・・・。
「あの男、殺したのアンタか?」


「もし―・・・俺が情報屋さんのほかの仕事をしてたら、嫌いになる?」
それが、ギールの答えだった。
「皆心に闇を持ってるんだ。闇の無い人間なんて居ないさ」
エディスはしらっとした顔で言ってやった。
というか、自分の手だって汚れているのだからそんな事別に気にしない・・・。
「有り難う。でも・・・一つだけ、約束してくれるか?」
「何だよ?」
「あんまり、こっちの仕事について関わってこないでくれ」

そっと、微笑んだ。
花がほころぶかのように 綺麗に 綺麗に。
エディスは。



エディスは立ち上がった。
「・・・・・・帰るぞ、ギール」
すっと手を差し伸べる。
「夜風は冷えるからな」

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