[携帯モード] [URL送信]

木柵鉄観音の宴

  「よっしゃ倒した! さあエディス、これで邪魔者もいなくなったし俺と一緒に帰ってもらうぞ!」
にやりと笑うシルク。
そのシルクの後頭部をぶん殴り倒したのは、
「駄目ですよ。この方にはまだすべき事があるのですから」
にこりと手刀を構え微笑むのは勿論シトラス。
「さ、うるさいのが起きないうちに傷を見せてください」
床に座ったエディスの前に座ったシトラスはまず足を手に取った。
「ああもう・・貫通しちゃってるじゃないですか・・。もっと自分を大切にしてくださいよ」
しかしそれもシトラスが二節程歌うと治った。勿論、赤くなってしまった頬もだ。
「いつも悪いな、シトラス」
「そう思うなら早く目的を達成してください。それに僕も僕で旅を楽しんでますから。さ、早く」
「ああ」
ギールにちらりと目を向けるとシトラスは口パクで『この人すぐに無茶するので見ててくださいね』と言った。
「オッケ」
それにぐっと親指を立てて答えた。

「エディスさぁん・・!」
「え? ああ・・アリエッサ」
振り返るとふわっと腕の中に入ってきた。
「どうした?」
柔らかめに笑うとアリエッサも笑った。
「あのっ、ありがとうございました!」
「どういたしまして」
そのまま抱きしめてやるとアリエッサは完全ヤられた顔。隣のギールが哀れすぎて泣けてくる。
「あの、私・・!」
「ん?」
「私、頑張って皆とこの国を良くしていきます!」
返事の代わりにくしゃりと頭を撫でてやる。・・これ以上悩殺する必要ないだろうに・・。
「もし、もし・・この国がエディスさんから見てもいい国になったとしたら、いえします! いつか・・もう一度来てくれますか?」
「ああ。必ず来る」
にっと大好きな美少年らしくない笑顔。
最後に見れて、良かった・・。

私は、恋をしました。貴方に。
幸せです。貴方を好きになれて!

「よーし、じゃ行こうぜ。・・・な、なぁっ、ギール!」
「・・・・・・ああ!」
にっと笑い付いていく。
「今度は何処に行くんだ?」
「決まってね――――! まずは情報収集だなあこりゃあ」

それはそれは蜜の味のする物語
一人の国と国とを旅する少年の物語
その少年の名は―




【END】


[前へ]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!