菊花の宴 彼はノーマルな人 「・・・ん、むぐ、れ・・また失敗かあ」 残念そうな声でそう言うのは背の高い黒髪の少年。 「何をやっとるっちゅーんじゃ?」 「ん、サクランボのさ、茎の部分舌で結べないかなーと思ってさ。やってた」 もぐもぐとサクランボを咀嚼しながら聞いて来た桐島に灯は素直に答えた。 「また変な事を・・・馬鹿か貴様は」 「な、何だよ!結構難しいんだぞこれっ! 馬鹿にすんならやってみろよ!!」 咲に馬鹿にされた灯はむっとして言い返すが馬鹿にしたような顔をされしゅんとする。 「あら〜、皆で何してるの〜?」 「瑠璃亜姉さん、それがな・・」 「それ出来る人って変態なのよねぇ〜」 「・・・?!」 灯から話を聞いた瑠璃亜が放った言葉。 それを聞き驚いた咲が舌を使って綺麗に結んだ茎を飲み込み。 「う、げほ、ごほ・・・うぅ・・・!」 「ぇええええ!?大丈夫かよ咲!」 「種でも飲み込んじゃったのかしら〜?」 「そ、そんなところだ」 結んだ茎を誰にも見られる事が無くなったのだから良かったかもしれない。 咲は灯に背中を摩って貰いながらそう思った。 [前へ][次へ] |