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誤解 曲解 勘違い ※♀ 1
梅雨のさなか、蒸し暑い日が続く。地下深くを走るミラクルトレイン車内は、その影響をもろに受けていた。

「うえええ、あっちい!」

どこかから聞こえる叫び声をよそに、車内でお気に入りのコーヒーを片手に、都庁はさっき上がってきたばかりの報告書に目を通していた。

「何とかなんねえもんかねぇ、コレ」

騒々しい声と足音が、徐々に自分のほうへと近づいてくる。
がらりという音とともに連結ドアが開くと、そこには先ほどからの声の主が立っていた。

「リーダーぁ、どうにかなんねえのかぁ?」
「空調設定はすでにドライになっているぞ。それに、そんなに暑いか?」

上着こそ脱いではいたが、長袖シャツにベスト姿でホットコーヒーをすする都庁。対して、声の主、両国はと言えば、シャツは腕を肘の上までまくり、ボタンも3つくらい開け、襟元を引っ張りぱたぱたと風を起こしている。足元もよく見ると裸足に雪駄。車内での服装規定もなにも全部を無視した、みっともないいでたちである。

「暑いか?って、あっちいだろ?」
「私には少し涼しいくらいだが…いくら暑いからと言って、そういう服装はどうかと思う」
「だって!あっちいんだって!見ろよ、ほら」

都庁の目の前にずいと腕を突き出された両国の腕、じとじとと汗ばんでいるのが見ただけでわかる。


20100629


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