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いつみくんの災難 4
「昨日の調整に不具合が出ているので、本日再度調整を行います。そこで修正をかければ、両国さんへの影響はリセットされます」
「なんでい!そんなことでいいのかい!じゃあ、さっさとやってくれい、だんな!」
「それは無理です」

威勢よく言い放った両国の言葉を、車掌はさらっと否定した。

「へ!?なんで」
「調整作業は日付が変わる時間帯にしかできないのです。ですので、申し訳ございませんが、本日中はこの姿で過ごしていただくことになります」
「ま、まあ、仕方ねえな…」
「それと、両国さんは本日のお客様ですので、外に出られる際は、他の駅のどなたかとご一緒でないといけません。ご存じかとは思いますが、お客様であるうちは、一人ではミラクルトレインを下車できませんので」
「じゃあ、誰かと一緒にいなきゃなんねえってことか?」
「そういうことになりますね」
「よし!わかった!じゃあ…」
「じゃあ…?」

両国の次の言葉に、一同が注目した。

「…なんだよ、みんなして」
「い、いや、誰を指名するのかと思ってな…」
「ぼく、今日は予定ないですよ」
「あ!六本木さん!ぬけがけ!?僕だって空いてるもん!」
「何言ってんだ汐留。そんなの全員だろ。てなわけで、俺と一日、どうだい?」
「私も立候補しますよ」
「あ、あー…いや、みんなにはわりいんだけど、今日は夜まで本でも読もうと思ってな。鬼平犯科帳を最初から読みなおそうと思って!」
「…」

一同の期待に反し、両国はマイペースに時間つぶしの計画を練っているらしい。

「そういうことなら、私もお付き合いします」

読書の何に付き合うというのか定かではないが、月島が率先して名乗り出た。

「おっ!じゃあ、俺のおすすめの本貸してやるぜ!いいのがいろいろあってな…」
「その前に」
「!?」


20091220





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あきゅろす。
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