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危機感、ヨロシク 2

「それにしてもかわいいねえ、両国くん。ね?そう思うよね!って、どうしたの、月島くん」
「どうしたの、とおっしゃいますと?」
「話、聞いてないでしょ。まーったく、君はわかりやすいね。露骨に面白くなさそうな顔してる」
「そ、そんなことは…」
「両国くんがとられたみたいで面白くないんでしょ?ごめんごめん、そんなつもりはないんだけどね、あの子は構いたくなるから、ついつい」

両国のことが放っておけないというなら、それは言われなくとも分かる。自分もそう思うのだから。だからこそ、月島はこの先輩のことが怖いのだ。

「べ、別に、面白くないだなんてことはないです」
「そう…でもね…」

ずりずりと座る位置をずらすと、月島の目の前で、豊島園はぐいっと顔を近づけてきた。

「恋は盲目って、いいよね」
「盲目、ですか?」
「そ、盲目。君の頭の中は、両国くんへの気持ちでいっぱいなんだ」
「そんなことは…」
「そんなこと、ある。だって、僕のこと、邪魔ものにしか見えてないでしょ?お見通しだよ」

じっと瞳を覗きこんでくる豊島園の視線から、なぜか月島は目を逸らすことができない。徐々に近づいてくる双眸は、目を逸らしたらその瞬間に心の奥まで覗きこんできそうだったから。

「…」
「でも、月島くんのその盲目さ、かわいいね。ほら、隙だらけだよ」
「え…あ、先輩っ…な、何を…」
「キスしちゃおうかな」

つ、と輪郭にそって滑る豊島園の指は、そのまま月島の頬を伝い、耳元に触れた。拒もうにも、月島の身体は、指一本さえも動かないほどに、固まっている。

「待たせたなー!って…な、何してんだ!?」

両国が手に飲み物やら何やら抱えて戻ってきた。が、目の前で繰り広げられている親密な風景に思わず大声を上げる。


20100325




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