ウワサの真相 4 ― 新宿がだれかを連れ出す場所と言えば、だいたい見当はつく。月島は花園神社に向かうと、正面の鳥居の下で周りを見まわした、が、見える範囲に二人の姿はない。どこに隠れたものかと境内を歩きながら眺めていると、案の定、新宿と両国の姿があった。拝殿へあがる階段の脇、物陰で何やらこそこそとしているではないか。 自分もそうしていたが、二人も周囲には姿が見えない状態でいるらしく、行き交う人々は誰も二人のことに気づいてはいなかった。 いきなり突撃すべきかどうか迷ったが、二人がこそこそと何をしているのかが気になった月島は、気づかれないように階段を上った。二人の会話が聞けるところまで近づくと、何やら穏やかではない二人の話声がする…。 「よくできました、だな…もっとやってみるか?」 「もういい!」 「もういいのか?」 「新宿さんのためにやってんじゃねえ!」 「へえ…お前の口からそんな言葉が出るとはね…」 「なんでえ、悪ぃか!?」 「いや、悪いってことはないぜ?ちょっと意外だっただけ」 「これで終いだ!もう帰る!!」 話の前後はよくわからなかったが、両国は新宿を置いてひとり行ってしまった。去っていく両国を追いかけるべきか、残った新宿を問い詰めるべきかと月島が迷っていると、下から自分の名を呼ぶ声がした。 「あーあ…振られたか…なあ、月島さん?」 「え…」 声のするほうを見ると、新宿が月島を見上げている。 「何やってんだ?そんなところで」 「え、えーと…」 「月島さんがこんなところまでわざわざお散歩?酔狂なことで」 「…」 「まあ、せっかくだから、少しご一緒しますか」 新宿は階段を数段あがったところで、すとんと腰を下ろし、月島を隣に座るよう促した。月島が隣に着くと、二人はゆっくり話を始めた。 20100122 ←text [*前へ][次へ#] |