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甘い、あまい 2

「まじない…?」

両国が妙な発言をする月島のほうに近寄った、その瞬間。すぐそこでいちごの甘いにおいがした。

「…!?」

ついさっき月島が口に入れたはずのいちごミルク味の粒が自分の口の中にある。状況を理解する前に、両国は粒を思わず飲み込んでしまった。


「ちょ…月島っ!!」
「お味はいかがです?」

悪びれる様子もなく、月島はニコニコと質問してくる。

「あ、味なんかわかるか!飲み込んじまったってーの!」
「おやおや。丸呑みは危ないですよ」
「誰のせいだ!!!」
「いいじゃないですか。これでひとつ、好き嫌いがなくなりましたね。ほかにも食べられないものがあったら、こうしてあげますよ」

悪気があるのかないのか、恥ずかしいことを笑顔で月島は言う。

「…つーか」
「?」
「嫌いな食いもんなんかねえんだけど…」

月島のポーカーフェイスとは正反対に、顔を真っ赤にしながら、両国がぼそぼそつぶやく。

「なんです?」
「だから!嫌いなもんなんかねえんだって!」
「…ああ、そうですね」

恥ずかしさを必死にこらえてうつむく両国の頬に手を当てて、月島はもう一度唇をかさねた。

「う…ん……」
「もうちょっとだけ、ね?」

それは、七味もうすしおもいちごミルクもかき消すような、甘い甘い、キス。


20100101


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