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ちょっと待て! 2

新宿の言わんとすることが、よくわからない。新宿にはそういう回りくどいところがあって、それを本人は『駆け引き』だとか言っているが、言いたいことがあるなら、はっきり言えばいいと思うのだ…相手を試すようなことは、私は好きではない。
顔を少し上に向けて、メガネを触りながら考えてみたが、結局思いつくところはなかった。とりあえず、何か言い返そうと思って新宿のほうに顔をやると、突然、すごい勢いで首元に力がかかる。
下側からネクタイを引っ張られたのだ。
そう理解したとき、すでに眼前には新宿の顔があった。

「…」

しばしの沈黙ののち、新宿の顔が少しずつ離れていった。

「おま…何をっ!」
「何って、確かめさせてもらっただけだろ?うん…変な癖はついてないな…」
「車内で!車内でこういうことをするなと言っているだろうが!!!ただでさえ、最近は風紀が乱れつつあるというのに…こういうことは場所を考えてだな…」
「ああ、そういえばそうだったな…わりいわりい。そんな怒るなよ」

さっきとは違い明るい声色、軽い口調で詫びをすると、新宿はそのまますたすたと去って行った。どうやら、不機嫌は収まったらしい。それならそれで、万事解決ということでいいのだろうか。



いや…さっきはとっさに、場をわきまえろと言ってしまったが…それじゃあ、人目がないなら好きにしてもいいと言っているようなもの、ではないか!

「待てっ!新宿っ!」

浮足立つ新宿を、私は血相変えて追いかけていった。


20091224


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あきゅろす。
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