俺のだから 2
―
先日のこと。
「よう、大門」
「…なにか?」
車内で座席に腰掛け、大江戸刑事で使った小道具の手入れをしている大門がいた。黙々と作業する大門に、新宿は声をかけた。
「あんたさ、リーダーと仲いいよなあ」
「趣味が同じだからな、話が合うんだ」
「それだけ?」
肩がピクリと動き、大門の手が止まる。
「それだけ、とは?」
「俺の言いたいこと、わかってるだろう?」
「何のことか…」
「あんた、あれのことどう思ってるんだ」
「何が言いたい?」
「とぼけなくてもいいんだぜ?俺さあ、聞いちゃったんだよねえ、あんたとリーダーが話してんの」
「…」
「『自分は本気です』とか言ってさあ…ねえ、どういうつもり?」
「ほう…出歯亀とは悪趣味だな」
「リーダー動揺してたよねえ、『そんなことを言われても困る』って」
「別に、自分はボスに迷惑をかけるつもりなどない」
「へえ…ずいぶん殊勝な態度なことで」
「そもそも、お前には関係ないことだろう」
「それが、関係あるんだよね」
大門の耳元に顔を近づけると、新宿は小声で囁いた。
「さきは、俺のもの、なの」
新宿の身体がゆっくりと大門から離れると、お互いはじろりと睨みあった。
「ふん、何を言い出すかと思えば…やはりお前には犯人役がふさわしい」
「言ってろ」
新宿はくるりと向きを変え、隣の車両へと向かった。
―
「ねえ!新宿さんは!?次はどの役がいい??」
「…ん?」
「やっぱりボス?」
「いーや!俺はやらないね!やらない!」
「えーーーっ!?もしかして、今回が犯人役だったから拗ねてる??」
「そうじゃない!」
「じゃあ、どうしてさ?」
「…」
子供じみた話だが、また大門が現れるかと思うと、またあいつの顔を見るのかと思うと、新宿はそれが無性に腹が立つ。
「じゃあさ!次は、大門さんのポジションすればいいじゃん!」
「大門…?」
「新宿さんならかっこいいよ!」
「死んでもやるか!!!」
突然立ち上がり、新宿はどかどか歩きながらと車両を出て行った。
「あれ?新宿さん怒ってる?怒らせるようなこと言ったかなあ?」
「…どうしたんだろう」
「リーダー、なんか心当たりねえか?」
「さあ…まったくわからんな。面倒だから放っておけ…」
とは言いながらも、新宿のやきもち丸出しの後姿を、都庁は苦虫を噛んだような顔で眺めていた。
20091224
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