まとめてニャンニャン What do you think of me? 2 ― さて。 伊達家が全く乗り気でない縁談はというと、やはり難航を示していた。 「今、なんと…」 「ですから、今回のお話はお受けいたしません、と」 「どういうことでございますか?!」 「申し訳ございません」 丁重に頭を下げる政宗に、先方の従者である初老の男は怒鳴りつける。 「政宗殿!このような恥をかかせて…ただで済むと思いか!!」 「まあ待て」 従者をなだめるように、若者が止めに入る。 「政宗様は、わたくしのことはお嫌いですか?」 「いいえ、決してそのようなことはないのです」 「理由があるなら、お聞かせくださいませんか」 「それは申し上げられません」 「では、どなたか心に決めた方がいらっしゃるのでしょうね」 「え…」 「それならそれでよいのです。断ってくださったほうが、わたくしも都合がよい」 「若?それは…」 従者の質問には答えず、若者は言葉をつづけた。 「これ以上のお話は無用というものです。政宗様も片倉様も、本日は誠にありがとうございました。失礼いたしまする」 恭しくこうべを垂れ、若者と従者は伊達の城を後にした。 ― 結局、話は円満のうちに破談となり、なんの問題もなく終止符を打った。 しかしながら、政宗は納得がいかない。 「あのやろう、何考えてやがんだ!!!」 「長曾我部殿はお部屋にてお休みのご様子で」 「ふざけやがって…」 政宗は、縁談に着ていたかさねを脱ぎ散らかし、袴に着替える。ぎゅっと帯を結ぶと、元親の部屋めがけてどすどすと廊下を渡っていった。 「元親ぁ!!!」 すぱーんと襖を開け放つと、こちらに背中を向けて、元親がぐうぐうと寝ていた。 「おい!元親てめえ!寝てる場合かっ!人の頼みも気かねーで、何やってんだよ!」 「ん、ああ、政宗か」 政宗に胸ぐらをつかまれてがくがく揺すられ、元親はぼんやりと目を覚ます。 「なんで来なかったんだよっ!」 「ああ…だって、おれがちゃちゃ入れるようなことじゃねえだろう?」 「じゃあ、おれが、おれが今日の相手とどうにかなっても良かったのかよ!?そういうの気になんねえわけ?」 政宗の剣幕に、元親は淡々と答えた。 「そんなこたねえけど、よう、もし、おまえがそいつのこと気に入ったんなら…そんときはそんときだし…おれに止めらんねえし…」 「もういいっ!!」 元親の返答にいらついた政宗は、元親を床にたたきつけるように手を振り切り、部屋を出て行った。 「なに怒ってんだ…?」 ― 元親は、縁談の子細を小十郎から聞いた。 「じゃあ願ったり叶ったりじゃねえか」 「まあ、表向きにはそうだろうよ」 「表向き?って」 「てめえ、本当に分かってねえのか?」 「何を」 皆目見当もつかん、という元親の態度に、危うくキレそうになるところをぐっとこらえて、小十郎は言い放った。 「てめーがこんなに情けないとは…政宗様もさぞがっかりされただろうな」 はあ、と一つため息をついて、小十郎は踵を返した。 「ちょ…片倉さん」 … どうしたものかと考えてみた結果、元親の足は政宗の部屋に向かっていた。 ―続 20091007 ←*next→# [戻る] |