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まとめてニャンニャン
夏の忘れ物 2
元親は何やら部屋の端から引きずり出してきた。

「ほら、早くニギれって」
「え、ああ…」
「お!おれが黒か!負ける気しねーな!」

政宗の元親が挑んできたのは囲碁だった。

「ほれ、はやく石置きな。九個だろ」
「はぁ!?前にちょっと勝ったからって、てめー…」

かくして、二人は囲碁を打つことになったのだが、結果は白・政宗の勝ち。
元親が納得いかないらしく、次、また次と数局打ってはみたものの、結果は変わらなかった。

「く、くそ…また負けた…」
「これはまあ頑張ったんじゃねーの?ちょっとヤバかったし」
「も、う、一回…」
「えー?もう疲れたっつの。飽きた」

まだ明るいうちに打ち始めたが、気がつくと夕日も沈みかけている。そりゃ疲れるはずだ、と納得しながら、政宗は首を左右にこきこきと鳴らした。

「じゃあ酒にするかい」
「おっ!」

待ってましたと言わんばかりに政宗が飛び上がる。

「こっちの酒はうまいからな!肴もたのむぜ」
「わーってるよ。すぐに支度させらあ」

すぐに夕餉の準備が整い、ふたりは呑みはじめる。

「うーん!んまい!」
「あったりめーだろ。おまえんとこのには負けねえよ」
「いーや、それはねえけど。うちのの次にはうめえな」

どうでもいい地酒自慢を語りながら、ふたりの酒宴が進む。じきに酒がまわってくると、政宗は外を眺めたり手元を眺めたり、口数も少なくなった。

「酔ったか?」
「…わかんね」
「疲れてるから回るのも早ぇんだ。少し横になれよ」
「ここじゃやだ」

変なわがままを言いだすのは、政宗が酔っぱらった証拠だ。

「しょうがねぇなあ。じゃあ奥行くぞ」

奥には元親が仮眠用に使う寝床がある。とりあえずそこに寝かせようと、政宗を促した。
脱力した政宗がごろんと横向きに倒れこむと、元親は枕を当てようとして姿勢を直す。

「政宗っ、まさむね!」
「…ん、だよ、うるせえ、邪魔」
「これだよ、よっぱらい…」

いやがって置いた枕を外すので、頭を持ち上げたまま、仰向けにしようと肩を押さえた。
ふいに政宗の顔と顔が近づく。

「なんだ?もとち…」

気がついたら、元親は政宗の唇をふさいでいた。

「!!?」

言葉を遮る、乱暴なくちづけ。強引に割り込んでくる、自分のものではない粘膜の感触に、政宗は思わず歯を立てた。口の中に鉄くさい味が広がる。

「い…っつ!!てめ、なにす…」
「何って、そりゃこっちのセリフだ!!」

息を荒げながら政宗が怒鳴る。

「寝込みに手ぇ出してくんじゃねーよ、この色ぼけが!」
「いいじゃねーかよ!…初めてってわけじゃあるまいしよぉ」

拒まれたことにちょっと傷ついたような顔をして、元親が言い訳する。

「全然よくねえ!アンタにゃどうでもいいことだろうけどな、覚えてねぇうちにあれこれされるなんてたまったもんじゃねえんだよ!こっちにしてみりゃ重大問題なんだからな!って、聞いてんのか!?」
「へーへー…っぐお!!」

人をなめた元親の態度に、政宗はみぞおちに一発かましてやった。



あれ?

政宗はがばっと起き上がり、横で悶絶する元親に聞く。

「こんなこと、前にもなかったっけか?」
「はあ…?こんなことっ、て…?どれ?」

食らった衝撃が思いのほか重かったらしい元親は、うなるような声を出して答える。
政宗には覚えがあった。
元親が無理やりしてきたから、思いっきり噛んでやった。
口中に広がった鉄くさい味。
いらだつ元親。
気に入らない態度の元親のみぞおちにくらわせたこと。

「前にもこんなことあったって、なあ!?」
「あ?あー、あったかもな」
「いつだっけ?なんでだっけ!?ああー!shit!思い出せねえ!」

頭をわしわしと掻きむしりながら、記憶を手繰っている政宗に、元親がぽろりとつぶやいた。

「多分、思い出さねえほうが幸せだぜ、おまえ」
「why?」
「絶対そう思う…」

気まずそうな表情で元親が笑っている。

「逆に気になるじゃねえか!覚えてんなら教えろ!早く!!」
「やめたほうが…」
「そんなことでおれがビビるとでも思ってんのか!?」
「いや、ビビるとかじゃなくて」
「い い か ら ! 早く吐け!!!」
「後悔しても知らねえからな…」

迫りくる政宗の語気に押されて、元親は口を開いた。





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あきゅろす。
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