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まとめてニャンニャン
真田、恋に落ちる
「なあ…」

裾から足を伝って手のひらが侵入してくる。
真っ昼間からこれだ。

「やめろ」
「いいだろ?」

政宗の制止も聞かず、手のひらは内腿に触れ、そこをまさぐろうとする。

めんどくせえ…

好きにさせてやろうと仰向けになると、待ってましたと言わんばかりに巨躯がのしかかってくる。

「てめぇも好きだな」
「久しぶりなんだぜ…」

首筋に顔を落とし、そのままにおいを確かめながら元親は唇を這わせる。

ふと

……政…宗殿ォ…ォォォォ
遠くから、名前を呼ばれた。

来た!!!


「どけっ!」

ぐ、き…と響く鈍い音。

「いっ…でぇぇぇ!!!!何す、ちょ…どわっ!」

政宗は自分にのしかかるものを蹴飛ばし、なにやら聞こえた悲鳴は気にせず、己を呼ぶ声のする方に走って行ってしまった。

「っ…つぁー……なんだってんだ、ありゃ…」

首をごっきり曲げられたうえに蹴っ飛ばされて壁に激突。…自らを哀れみ、元親は首さすりながら政宗の後ろ姿を眺めていた。




「よぉ、真田幸村。待ってたぜ」
「政宗殿!久方ぶりにございます!お変わりはございませぬか?」
「まあな」

やってきたのは真田幸村であった。
幸村と政宗の手合わせは珍しいことではないが、聞こえたかぎりでは、二人はしばらく顔を会わていないようだ。

「到着早々ではござりますが、手合わせ願おう」
「望むところだ。Let's party!!!」

とんと姿を見せない幸村を待ち焦がれていたのか、政宗は裸足で庭に飛び出していった。
稽古がてらの手合わせで真剣ではないにしても、風を切る音と木がぶつかる乾いた高音が響く。
気合いは真剣を握るときと変わらない。

…あーあ、おっぱじめやがった。

ぶっ飛ばされほったらかされたままの元親はその様子を眺めながらため息をつく。
いきなり来たのは自分だが、まさか今日に限って、真田幸村が現れるとは。

久しぶりにしけこもうと思ってたのによ…

縁側に寝そべってふてくされながら、元親はふたりが楽しそうに剣を交える姿をぼんやりと眺めていた。

しばらくすると、気がすんだのか二人は縁側に戻ってきた。

「おお!元親殿もおいでであったか」
「よう…元気だなあ、幸村よお」
「なんの!これくらいでくたびれていては、政宗殿にお相手していただけませぬよ!」
「腕は落ちてねえようだな、幸村」

満足そうに言う政宗が恨めしい。

「茶でも持たせよう。待ってな」

そう言うと、政宗はばたばたと奥へ向かった。

「ふむ。よい手合わせでござった」
「よく飽きねえよなあ…」

元親はあきれたように幸村を見た。
と、めずらしく幸村が何やら神妙な顔つきをしている。

「どうしたんだい?変な顔してるぜ、虎の若子さんよ」
「元親殿…折り入って伺いたいことがあるのだが、よろしいか?」

いつにない態度で幸村が言う。

「なんだ?」
「某、今日は政宗殿に会いに来たのだが、元親殿は?」
「決まってんだろ、同じだ」
「そうでござるか…」
「それがどうした」
「こんなことを申すと気を悪くされるやも知れませぬが、その、元親殿がいるとわかったとき、なぜかがっかりしてしまったのだ」
「おれに?」
「いや、元親殿がいたからというより、二人ではないとわかったから…か?」
「ふーん…」
「いや、決して元親殿がどうということではないのですぞ!!気を悪くされたなら…」
「んなこたねえよ」


―続
20090503

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