[通常モード] [URL送信]

まとめてニャンニャン
寝ても醒めても 2
「腹減った…」

ぼんやりした意識の中、元親がこぼした。
あっちが満足すれば次はこっちと、欲求がわく。つくづく現金なものだ。

「珍しいものがあるぜ」

裸のまま布団を抜けると、政宗は荷物をあさる。そして小さい包みを元親に渡した。

「なんだこれ?」

中身は茶色の固形物。なんともいぶかしげな見た目だが、とても甘いにおいがする。
元親はにおいをかいだりするが、口にするのはなんとなく躊躇している。

「心配すんなよ、ほら、あーん」

そう言うと、政宗はひとつつまんで元親の口へ運ぶ。元親がつられて口を開けると、中に放り込まれた。

「あ、溶けた…甘い…」

気に入ったのか、元親は2個3個とほおばった。

「春先には花やら菓子やら贈り物を交換する習慣があるんだとよ。その菓子なんかもそうらしいけど」
「へえ。好いたもんどうしでやるのか?」
「…まあな。由来は、報われない恋人たちを救済したヤツへの弔いとかなんとか、だっけ?」

小さい溜め息をつきながら言う政宗に、口をもごもごしながら元親が言う。

「ふーん」
「まあ、なかなかロマンがあるじゃねえか」
「ろまん?」
「そ、ロマン」

言いながら、政宗は枕元に置いてあるキセルに手を伸ばし、片手をついてぷかぷか吸い始める。

「菓子を贈ったらろまんなのか?」
「そういうことじゃねえよ」

かん!とキセルを打ち付けると火を消して、元親の上にのしかかる。元親の胸に耳をあて、鼓動を聞きながら、政宗はつぶやいた。

「報われない、か」
「何?」
「わかんね…」

元親は上半身を起こすと、髪をさらさらと撫でながら政宗を抱き寄せる。

「もとちか」
「ん?」


―続
20090217

←*next→#

2/3ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!