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まとめてニャンニャン
約束はいらない 5

その夜、政宗は元親の部屋へ出向いた。

「すまねえな」
「いえ、わたしもお話がありましたので…」
「そうか」

政宗は元親の前に正座すると、じっと元親の顔を見つめている。

「どうした?話ってのは」
「それは…後ほどで」
「いいから言ってみろ。おれの話は長ぇからあとでな」
「あ、あの…」

政宗は躊躇していたが、しばらくの沈黙ののち、口を開いた。

「単刀直入に申しますと、わたしは、元親殿をお慕いしております」
「へ…」
「…ですから、お慕いしておりますと」

思いも寄らぬその言葉に、元親は顔色を赤くしたり青くしたりしている。

「も、元親殿?」
「…んだよ、それ」

冗談じゃない。
なんで。

「なんだよ、それ」
「あ、の、お気を悪くさせて…」
「違う!!」

元親の大声に政宗の身体がびくりと跳ねてこわ張る。

「なんだよ…」

元親は顔を覆った。その様子に気まずくなったため、政宗は部屋を去ろうとした。
政宗が立ち上がり、襖に手を掛けようとしたところ、ものすごい力で腕を引っ張られた。

「きゃ…っ」

どすっ

元親が政宗の身体を受け止めると、後ろから抱き抱えた。

「どこ行くんだよ」
「あ、あの、申し訳ありません、元親殿…」
「なにが?」

早くこの場を去りたいのに、身動きが取れず、政宗は焦る。

「わたしが勝手なことを言ったせいですよね、ごめんなさい」

言葉を聞いて元親の腕に力がこもる。

「なんで、なんであんたから言うんだよ…。そういうことは……」
「え、あの…っ」

政宗の鼓動がにわかに早くなる。

「離して…ください」
「一晩、時間くれって言ったろ」

腕をはらう精一杯の抵抗を試みるが、それもささやかなものであった。元親が耳元で囁く。

「好きだぜ、政宗」





ぴちゃぴちゃと音が響くなか、二人はお互いの唇をむさぼっていた。

「う、ん…んっ、くるし…」

訴えに応えるように唇を離すと、目の前には息をあらげ、瞳を潤ませる政宗がいた。

「もっとしてもいいか?」
「そんな…、ふあ、っ…」

政宗の言葉が終わる前に、またお互いを求め始める。元親の手が政宗の背中から肩に回ると、ゆっくりと襟を開き、寝巻をはだけさせる。露わになった白い肩に唇を落とすと政宗の身体がぴくんと揺れた。

「ひゃっ」
「相変わらず白いなぁ」
「あいかわらず…?」

政宗は状況が理解しきれずにいる。

「たまんねーよ、ホント」

言うが早いか、元親は政宗の上半身を覆う着物をひんむくと、胸元に顔をうずめる。

「っ!!」

驚きのあまり、政宗は固まってしまった。

「まさむね?」
「や、あっ…」

元親が視線を上げると、ぎゅっと目をつぶり、顔を真っ赤にした政宗がいた。

「あー、悪かった。つい…」

顔を上げ、こわ張る政宗を抱き寄せる。

「いやならしねえ」
「…」

政宗は返事こそしなかったが、元親の首に手を回して抱き付いた。と思ったら、政宗の身体から急にへなへなと力が抜けていった。

「おいっ!」
「あ、ち、力が…」

そのままぺたんと座ってしまったので、元親も目の前にあぐらをかいた。

「大丈夫か?」
「びっくり、しました」
「そっか」

ひょい

返事を聞くか聞かないかのうちに、元親は政宗をだきあげ、自分の上に座らせた。

「きゃあっ!!」
「続きしようぜ」
「あン…」

元親は目の前の政宗に愛撫を重ねる。大きくまくれている裾から手をすべりこませ、太股や尻をさすると、政宗は甘い声を漏らす。

「ん…あ!ふあぁ」
「ちょっと腰浮かして」

言われるがままにすると、身体のまんなかに節くれだった指がすべりこむ。

「ひゃあんッ!っあ、あァ…」

元親が思ったよりもそこは濡れていて、すんなりと指を受け入れた。くちゅくちゅと指が音を立てる度に身体に電流が走る。

「んッ!あ…ふぁ…」

記憶では知らないはずの刺激も、身体は覚えている。感覚も神経も元親の指だけに集まっていく。

「あ…っ、もと…ちか…どの」
「元親って呼べよ」
「もとちか…」
「そうだ」

そう呼ばれていると、目の前にいる政宗は、今までとは何も変わらないように思えた。
記憶がないとか、自分のことを覚えてないとか、どうでもよくて。

ただひたすら、元親は政宗を欲していた。


―続
20081116

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