なかよしこよし
●ほんとのところ(チカダテ)
「まさむね…っ…!」
名前を呼んでそれっきり、元親はそのまま果ててしまった。放たれた熱が自分の中に残る。
「どうした?」
声に振り返ると、なんとも惚けたツラをした元親が寝っ転がっている。
「中に…出すなって、言っただろうが」
「…ああ、わりい。お前ん中ぁ良くってさ」
そのまま側へにじり寄り、上体を起こした元親の手はオレの髪を触っている。うつぶせになったままのオレは腹の中の違和感にいまだ慣れず、起き上がれないでまま。
身体は慣れた。中に放たれたその熱さは、元親の自分に対する思いのように感じさえする。
嫌いじゃない。元親のことも、こうしていることも。
「つれないねぇ」
「何が」
枕元に置いてあった酒をかっくらい、元親はニヤニヤとだらしない顔つきをしている。口元からこぼれた酒を、手の甲でぬぐいながら顔が近づいてきた。
「わかっててそうしてるのかねぇ」
酔っ払い相手にいちいち反論するのも面倒だ。
「でもなァ」
瞬間。とさり。と背中に覆いかぶさる体温。
「今日は、そうだな、アンタが言うまで、泣いても離さねえよ」
耳元でそう言うが早いか、そのまま耳たぶを噛み、耳筋に舌を這わせる。慣れた愛撫。考えてみても、拒む理由が見当たらない。身体が拒まない。心もイヤとは言わない。
「逃げないのか?」
囁く声は挑発的、悪くない。乗らずにはいられない。愛撫を続けようとする唇をかわし、逆に元親の耳元を奪う。
「好きにしな、できるもんなら」
結局のところ、誘われればそれ以上を求めている。態度で、行動で、言葉以上に伝えているのかもしれない。
しばらくはこのまま言わないでおこう、ほんとのところは。
−終−
20080807up
自分の誕生日記念にアップ。
わりとやってることはアレなのですが、ギリギリ指定なしで。
おつきあいありがとうございます!
かげつ
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