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なかよしこよし
同棲じゃなくて、共同生活 1 現代パラレル♀
※現代パラレルもので、♀政宗です。伊達家はいち大企業(たぶん不動産かなんかの)で、政宗は現当主。小十郎は会社の重役で、現在のところはほとんど小十郎が仕切っている、的な。政宗は学生なので、基本的に勉学が本分ということにw






突然だが、おれと元親は共同生活を始めることになった。
どうしてそんなことになったか、話せば長いんだが、ようするにおれ専属のボディガード、つうか世話係ってところだ。
ボディガードなら小十郎がいるだろう、と思うかもしれないが、あいつはあいつで何かと忙しい身分。おれはお気楽大学生。社会勉強を兼ねて家を出て一人暮らしをすることになったのだ。
とはいっても、すでに家督と家業を継いでいる、つまり社長には就任しているわけだが、後継ぎの若輩者に対して世間の目というものは冷たい。何かと外への体裁もあったのだろう、小十郎が独断で決定してきた。
が、さすがに女の一人暮らしというのも不安だったのだろう、かと言って小十郎が一緒に家を出るわけにはいかない。
そのとき、タイミングがいいのか悪いのかはわからないが、うちに新人が一人入ってきた。小十郎も何を思ったのか、そいつをおれの世話係に指名しやがった。
どうやら聞く限りでは、小十郎とそいつはだいぶ折が悪いらしく、顔を合わせるたびに衝突していたらしい。あまりにも生意気な新米に業を煮やした小十郎は、そいつをおれのところによこした、というわけだ。
そいつ―名前を長曾我部元親という男は、見た目にもずいぶんと目立つのだが、いかんせん態度もでかい。およそ新米らしさがない。小十郎が手を焼くとはずいぶんなことだと思ったが、たしかにこんなのにかまっている暇はないだろうから、そりゃそうだろうな、と会ってみて納得した。

「あんたが伊達のご令嬢かい?おれは長曾我部元親だ。今日からあんた付きに指名されたんで、よろしくな!」

へらへらとだらしなく笑いながら、右手を差し伸べてくる。

「ah〜…よろしく…」

見るからにいけ好かないかんじではあったが、口を開くと余計にそれを感じる。いやいやながら手を出し、握手のようなことをしてやった。
今日からこんなのと一緒に暮らすとは、先が思いやられる…。



「ちょ…まだ?」
「なんだよ、めんどくせえなら帰んな」

今日は元親をおれの買い物に付き合わせている。
別にたいしたこともない。ちょっと店を回っているだけだ。

「おい、まだ行くのか?」
「はあ?まだ、って、たかが20軒くらいで何言ってんだ?」
「20軒て…」

たしかに今日はちょっと多かったかもしれない。が、気に入るものが見つからないならいくらでも探すし、気になれば買わなくてもあっちこっち見て歩く。それが買い物というものだ。面倒くさいならついてこなければいい。

「その荷物持って先に帰れ」
「おまえは?」
「まだ買い物する」
「え〜…」

文句を言うわりには、帰ろうとしない。

「なんで帰んねえの?めんどくせえんだろ?」
「だって、これ、仕事だから」
「…」

思わぬ返答に、ちょっと驚いてしまった。
だって、あのやる気のなさそうな元親から、仕事という言葉を聞こうとはよもや思わなんだ。



―続
20091016

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あきゅろす。
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