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なかよしこよし
●それでいい(チカダテ)
「オレかアンタが女だったら?」

新月の夜。深い暗闇の中でぼんやりと光る蝋燭。その灯をながめながら、つぶやいた。ばかげたこと、とはわかっているが、口をついてしまった。聞いてみたいと思ったのか。

「ah?何言ってんだ?」
「思ったことあるか?」

あきれた視線。

「何考えてるか知らねえけど、俺は、そりゃねえな」
「なんで?」
「え…」

思わぬ反応だったのか、政宗は驚きを隠せない。
男だから女だからということが、この関係においては意味を持つものでもないのだ。政宗もそう思っているからこその反応だ。でも、今は、それが無性に気になる。
少しの沈黙のあと、政宗が口を開いた。

「どっちかが女だったら、俺たちはきっと出会わない。出会ってないだろ。それともなんだ?好きな女でも出来たか?女の方が良くなったか?」

ふふ、といたずらっぽく笑いながら政宗は答えた。
思った言葉とは違ったことが妙にうれしかった。ついつい顔がにやついてくる。

「…おい、質問するだけしといて、なんなンだよ」

細くゆっくりと煙をはきながら、すぐそばで横たわる政宗。その手からキセルを取り、一口吸って火箱に置いた。
不思議そうにこちらを向く、ひとつだけの瞳。
そうだ。
男だから、女だから、じゃない。

「好きだ」
「…急だな」
「いやか?」
「ンなこたねェ…ただ…ん、ぅん…」

政宗は自分を拒まない、その自信がある。不安があるなら、それは惚れた弱み。だから、次の言葉の前に政宗の唇を自分のそれで覆う。

「…っ……もとちか」
「好きだぜ、まさむね」

そうして、そのまま。
それでいい。それだけで充分。


−終−
200807**up

※なにげに処女作だったりしたという…
おつきあいありがとうございます!
かげつ



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あきゅろす。
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