ニャンニャン
●ほしいものひとつ※R15チカダテ♀
しんしんと積もる雪を眺める夜。
相変わらず元親は政宗の元に出向いていた。
めったに目にしないたくさんの雪や、その寒さに興奮を隠し切れないと言った様子で、元親は政宗にこどものように話しかけていた。
「冬になるとくりすますっつうのがあんだって?」
「ああ、クリスマスな。本来は向こうの神様の誕生日とかなんとからしいな」
「なんか楽しくやるんだろう?」
「らしいな…」
「ものあげたりもらったりするんだろ?」
「そういうのもある」
「すげえなあ!楽しそうじゃねえか!」
喜々としながら話す元親を横目にしながら、政宗は読書を続ける。
「そうだ!」
元親は自分の荷物をがさがさとあさり出した。気配に気付いた政宗はその様子を見やる。何かを見つけると、元親はそれを政宗に差し出した。
「?」
「やる」
おそるおそる包みを受け取り、開く。
中身はかんざしだった。
「いいだろ?」
元親は政宗の髪にすいと挿す。
「ああ、思ったとおりだ。似合ってる」
ニコニコと自分を見る元親の目の前で、政宗はかんざしを外して元親に渡した。
「返す」
「…気に入らなかったか?」
政宗の態度に驚いた元親は、先ほどとはうって変わってうろたえている。
「いや、違うんだけど…もらえねえ」
「…なんで?」
「だって、それ、すげえ高価なもんだろ?昼にも着物とかもらったし…なんか、わりいよ…」
「は?」
元親はめずらしく遠慮する政宗の様子に違和感を覚えた。
「オレが好きでしてるだけだぜ?気にす…」
「フェアじゃねえだろ!オレは何にも返してねえのに…いくらあんたが好きでやってたとしても、それはフェアじゃねえのはやなんだよ」
そっぽを向きながらも、みみまで赤くしながらそう言う政宗。
「ははー、んなこと気にしてたのか。ははーん」
政宗の顔を覗きこみながら、元親はニヤニヤとあごをさする。
「おまえさあ、なんてことなくその着物着てるけどさ」
「?」
「男が女に着物を贈る理由って、知ってるか?」
「え…」
昼ごろか。元親がここに着いて早々に、政宗は着物を贈られた。紅色に花柄の小袖。今には少し早いが、年が明けたら着ると言ったのに、今見たいと半ば強引に着替えさせられた。
元の着物に着替えるのが面倒でそのままずっと着ていたが、それがなんだというのか。
「なあ…」
「う、わ…わ」
目の前に元親が迫ってきたかと思うと、そのまま押し倒された。
「着物を贈る理由はな、脱がすためなんだってよ」
言いながら、下でじたばたもがく政宗の着物の裾から手を入れた。
「……っ!」
「だから、もらってくんねえとさ、こっちはこっちで困るんだ。わかるよな?」
政宗の口を手で覆い、話を続ける。
元親の膝が政宗の足を割り、押し広げていくと、着物の裾はめくれあがり白い太股まであらわになる。こうも組み敷かれてしまっては逃げられない。
「好きでしてるって、そういうこと」
元親のそのまま政宗の懐へと伸び、片手で強引に胸元をはだけさせた。
「いいなあ…着物の色とおまえの肌の色、ぴったりだ。見立てどおり」
弾力ある胸元に唇を落とすと、そのまま強く吸ったり甘く舐めたりを繰り返される。
寒さで冷えた身体に元親の唇が熱くて、くちづけされたところが熱くて、痺れに似た感覚が走る。
「っ…ん……んぅ…」
「わりい、苦しかったな」
手を外されると、政宗は少し咳き込みながら深く息をした。
「火傷、しそうだ…」
「はっは、オレの男っぷりにか?」
「そうかもな」
「ふ…ん」
元親の動きが止まる。
「ん?どうした?」
突然に唇を奪われ、そのまましばらく離れない。
最初は戸惑っていた政宗も徐々に舌を絡め、吸い付き、お互いを求め合う。
「ん…、もとちか…」
「なんだ?」
「もとちかは、何が欲しい?」
「…」
「教えてくれよ。全部やるから」
少し照れたような困ったよう顔をすると、元親は政宗の耳元で小さく囁いた。
「おまえ意外いらねえよ」
いい終えて政宗の顔を見ると、政宗も照れたような困ったような顔をしている。
「ばぁか」
「な…!」
「うそうそ。…オレもあんたがいい」
ちゅっちゅっと何度か唇を合わせると、もっともっと欲しくなる。恋人たちの甘い時間はこれから。
―終―
20081224
※ベタベタなアレな感じで。えっちいことは少なめですが、雰囲気的にこちらへ。勝手ばかりさせていただき申し訳ございませんが、満足であります。楽しかったです。
お付き合いありがとうございます☆
かげつ
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