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ニャンニャン
●寒い夜だから(チカダテ)※

「寒い」

後ろから抱き付いてくる。手が腰に回り、へその前で組まれた。

「やめろ…」
「うん」

もじもじと手を動かしているが、離そうとはしない。
「やめろって」
「うん…」

腰や腹をなでる手はいっこうに止まる気配がない。

「おい…」
「うん」
「聞いてんのか?」
「え…何?」

耳元で曖昧な返事をしながら、そのまま耳を舐めたり噛んだりする。政宗の身体を、甘く痺れるような刺激が伝う。

「やめろ…っ」
「…ごめん」

それでもなお、元親は攻め手を緩めない。片方の手のひらが腹を這い、上へと滑る。指が突起に触れると、その感触を確かめるように指で転がしだす。

「ふ、あ…」

政宗は元親の腕をぎゅうっと握る。手が震える。元親はもう片方の手で、着物の上から股間をまさぐる。

「あ!…おい…っ」
「おまえ、熱い」
「誰の、せい…と思っ…」

にわかに政宗の息があがってきた。悪態をつく余裕もなくなってきたらしい。

「頼む、まさむねぇ…」
「っ…、はぅ…」

耳元で吐息混じりで甘えてくるのはずるい。思わず漏れた自分の声に戸惑う。

「もとちか」
「うん?」
「しょうがねえから、付き合ってやる」
「…」
「寒くなくなったら終われよ」
「おう」





「なんだよ…っ、これ」
「?」

聞いているのかいないのか、大きくはだけた襟元と裾に、後ろから回した手を入れてまさぐる。しかし元親は政宗の着ているものをいっこうに脱がそうとしない。

「全部ひんむいたらさみいかと思って」
「はあ?」

ここまできて変な気を遣いだす元親に、政宗は少しのいらだちをおぼえる。


こんなことをしておいて、今さら気遣いもなにもあるか。
それに…


「あち…」
「ん?」
「あちい…んだよ…」

言われて元親は政宗の顔を覗く。
にわかに汗ばんだ額。やけに紅潮した頬。
息苦しさできつくなる目付きがまるで 誘っているかのように思えた。

「なんだよ…そのカオ」
「ああ?」
「…えっろ」

その一言は政宗の羞恥心をあおる。とっさにはだけた襟をつかんで居直ろうとしたが、すでに遅い。

「もっと見たい…かも」
「ば…か、ひ…あ、やめ、ろ…っ!!!」

元親の手は政宗の弱点を押さえて離さない。

「ふ…」
「ここか?」
「んぁ…っ」
「こっち?」

刺激が起きる度に、ぴくんと肩を跳ねながら耐える政宗の反応。身をよじりくねらせながら快感に悶えるその姿に、元親の欲情はいとも簡単に捕らえられた。

「すげえ、あつい」

政宗の熱を手に取ると、刺激と興奮でかなり大きくなっている。

「あ…ん」
「こんなんなって…なあ」
「あ、ダメ…あ、あ!」

手のひらに唾液をこぼすと、その手で政宗を扱き出す。にゅるにゅると滑りながら、大きな手が愛撫する。絶妙な力加減と刺激は、政宗の腰を揺らし、脳まで揺らす。一瞬、視界も頭も真っ白になる。同時に元親の手は政宗の白い熱を受け止めた。

「もう、いいだろ…」

力が抜け、政宗は元親によりかかり身体を預けている。
「まだ…まださみい」

そう言うと、政宗を支えていた腕を外した。腰を持ち上げられてバランスを崩しそうになりとっさに床に手をつくと、元親に都合のいい体勢になる。

「あ…ダメっ…」

指を出し入れして具合を見ると、たかぶったものをあてがう。

「なんで」
「イッ…ばっかだか、ら…めっ!…うあ」

政宗の意思とは関係なく元親が侵入してくる。

「ぃああ…っあ、あ」
「すっげえ…」

突き上げる動きにたえられず前に手をつくと、さらに高く腰を持ち上げられた。

「ちょ、っ、う、あ、あ」
四つん這いになったこの体勢では、抵抗できない。

「もとちかっ!」

狭い孔にめりこまれた楔は、ぬちぬち音をたてて政宗を犯す。速さと勢いを増す刺激に政宗はまた身体か波立つ。

「あ!あっ…あ…っ!」
「まさむね」
「な…ん、だ」
「イイか?」

唐突に何を言い出すかと思えば…

「今すっげえイイ」
「だから、っ」
「おまえもよくねえとダメなんだって、な」

言いながら元親の舌が政宗の背中を這う。

「あ、締まった。素直だなあ」
「う…るせ…っ、はやく…」

元親が放つ温度を感じながら、政宗は二度目に達した。





「落ち着くんだ、人肌。おまえのにおいとか」

政宗の襟足あたりに顔をうずめて鼻を鳴らす。

布団のなかでも元親は離れない。政宗に後ろから抱き付きぴったりくっついている。

「はなれろ…」
「だって…さみいよお」


ふと何かが動くような影に気がつき、政宗は障子戸のほうを見た。

ああ…

「元親、見てみな」

少し障子戸を開けて空を見る。

「今日は仕方ねえから、一緒に寝てやる」
「おう…じゃあもっかい、な!」
「…ばか」


元親が寒いから。
だからくっついてやる。
そういうことにしておくか。

今夜は雪だしな。



―終―
20081210




※さむいからくっつきたい寒がり元親。くっつく=いたすということじゃないけど、暖を取るには人肌ってことです。そうです。
お付き合いありがとうございます!


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あきゅろす。
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