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ニャンニャン
●真夜中は純潔(チカダテ♀)※R
好き

好きだ

好きなんだ

もとちか、アンタのことが






「へ?」
「おれみたいな女…嫌か?」

月のない真夜中に突然の告白。聞きまちがいか、あるいは幻聴かもしれない。

だいたい、政宗がそんなことを言うだろうか。
でも、だとしたら今、そう言いながら自分の懐に飛び込んできたこれはどう説明する?
唐突な政宗の言葉は、確かに自分に向かっている。

人知れず想いを寄せる相手からの言葉。今までも、何度か身体を重ねたことはあった。ただ、酒の勢い、なりゆきなどとごまかしては、本心は隠していた。それでいいと、思っていた。
なのに…
頭の中が落ち着かないまま、懐に視線を落とした。上目遣いでこちらを見つめる瞳と目が合う。潤んだ瞳で見つめるのは、この上なくずるい。

「こんなこと、はしたないよな…。迷惑だったよな」
「どうして?」
「困った顔してる」

迷惑…?そんなこと、あるわけがない。
ただ、突然こんなことになればふつうは戸惑うわけで…

「いきなり、どうしたんだ、おまえ…」
「だめ?」

つい、と元親の首に腕を回すと、政宗の顔が近付いてくる。

「どうしたんだよ、お、い…よせ…」
「やっぱり、いやか?」
「ん…っ!そ、じゃなくて、よぉ…」

身体が密着する。
これ以上迫られたら、途中で止める自信がない。責任なんか持てない。

「おれ、何しでかすか、わかんねえ」
「いいんだ、好きにして…」

心臓をわしづかみにされたような感覚。
政宗の身体からするにおいが鼻腔から脳を刺激し、麻薬のように思考を鈍らせる。
何も考えられない。

「答えろよ」
「好きだぜ…政宗」

元親は政宗の首に手を回すと、襟足の髪を指に絡めながら、その唇で政宗に触れる。
細い首筋、透けるような肌、やわらかく熱っぽい唇の感触、甘い吐息。
それらは、元親の思考回路を断ち切るに充分なものであった。

「ホントに、知らねえぞ…?」
「ああ、はやくアンタのものにしろよ」





「まさむねっ…」
「ふあっ、う…あ、あっ…止まんねえ、よおっ」

なんだかいつもと違う政宗の様子に、違和感を禁じ得ない。

「おまえ、どうしたんだ…?」
「何、がっ…!あ…」
「すげえ」

恥ずかしがるくせに、えらく大胆。
政宗は元親にまたがって腰を振る。脚をめいっぱい開き、つながったところを元親に見せつけるようにしてくる。誘われるままに元親は下から突き上げて応える。

「ひゃぁっ!!ちょ、あ、ダメ…やだっ、ん、くっ」

拒む言葉を連ねても、突き上げる衝動を咥えて離さないそこは欲望に従順である。

「かわいいなあ、まさむね…」
「あ、うぁ…いじわる、!!あ、あ、もッ、と…っ」

身体を起こし、政宗の上半身を支えながら首に顔をうずめる。白い肌に唇を重ねていくと、痕が刻まれていく。ひとつ、またひとつ、所有の証のように。身体を揺らしながら、感覚だけを頼りにお互いを確かめる。

「もっと…もとちかのものに、して」


真夜中の闇に溶ける二人の輪郭。甘い囁きにがんじがらめ。逃れられない。
真綿で首を絞められるというのは、こんな感覚だろうか…などと思いながら、元親は意識が遠くなっていった。






あー…


???




おもむろに身体を起こすと、そこに政宗の姿はなく、元親は一人で寝ていた。

「……」

ええええ!!!!?

うわ…
マジでか…

まったく信じられない。
あんな夢を見るなんて、どうかしている。夢にしてはずいぶん生々しい感覚と記憶、自分は相当な欲求不満に違いない。
むなしさと自己嫌悪にうなだれていると、少し離れたところから声をかけられた。

「起きたか?」

聞き覚えのある声に振り向くと、政宗がいる。

「政宗…?」
「…なんだそのアホヅラ」

登場人物が目の前にいる。夢の中でとはいえ、あんなことやこんなことを好き勝手にしてしまったのはやはり申し訳ない気がして、なんだか後ろめたい。

「政宗、わざわざ起こしにきてくれたのか」
「はあ?おれ、ここで寝てたし」

部屋に入ると、政宗は着物をはだけさせながらキセルに手を伸ばす。

「おい、ちゃんとしろよ、見えるっ!」

襟を直そうと手をかけると、政宗の首筋にいくつもの痕があるのが見えた。

「?…なあ、これ」
「ンだよ、…忘れたのか?」

苛立ちをあらわにした政宗を尻目に、元親はひとり混乱しだす。

「オレか?え、だってあれ、夢じゃねえの?」
「はぁ?寝ぼけてんのか?」

だって、だって

「おまえが、あんなかわいいこと言うわけねえだろう…」
「!!」

政宗は急に顔を真っ赤にしながら叫んだ。

「わ、悪かったな!…あれはっ!……ちょっと試してみたかった、んだ」
「何を?」
「アンタに、本気で迫ったら、どうなるのか…とか」

やられた。

政宗の出来心に完全に翻弄されていた。たまに起こす気まぐれに、こんなにも簡単に落ちる自分がうらめしい。

それでも、逆らえないのは絶対。
その存在は真夜中の純潔。



―終―
20081013


※かわいいこと言うまさむねちゃんが書きたいなという欲求で突発的にやりますた。
まさむねちゃんがかわいいほど翻弄されまくるヘタレが最高だ。
表現が追いつかないのは悲しいこと。

お付き合いありがとうございます!
かげつ

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あきゅろす。
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