じれったい奴等め



イタリア最大と謳われるボンゴレファミリー。
今そのボスの部屋の前にいるのは、時たま来る指導教官だった。

彼は只隠しているつもりだったが結構周りにはバレている己の気持ちを伝えようといつものように訪れ、一人気合いを入れているところだった。

深呼吸を一つする。
心音が穏やかで、どんな襲撃でもビクともしないだろうことを確認すると、満足そうに口端を上げた。
(今日こそは言うぞコラ!)


今まではタイミングが悪かったり、邪魔が入ったり邪魔が入ったり邪魔が入ったり邪魔が入る前に消そうとしたりとあれこれしていてチャンスを逃していたが。
今日は誰もが任務の為に出払っていることを事前に確認済みだった。
つまりは万全、邪魔はない。

しかし悲しいかな、上手くいかない。
いざ出陣!とばかりにドアをノックしようとした手が空振る。


「コロネロ?」
「つ、ツナ・・・!」


内側に開かれたドアから不思議そうに顔を覗かせた青年に、コロネロの心臓が一つ跳ねる。


「何か、気配がしたから。どうしたの?」
「う・・・」


何故入って来なかったのかと首を傾げるツナに、まさか告白しに来たんだぜコラ!なんて言えない。
告白という言葉を意識しただけで鼓動が早まる。

いつもは顔を見ただけでは此処までならないのに。
こうまで相手に自分の想いを告げることが大変だとは・・・・・・!

下手気なミッションよりも相当ランクが高いなどと思っていると、気分が悪いと勘違いしたのか心配そうに顔を覗かれる。
「頭でも痛いのコロネロ?」
「へ、平気だぞコラ!」
「あぁそれとも熱かな?」

凄い顔真っ赤だよと言って、背伸びをしつつ額をこつりと合わせてきたツナに。
コロネロの頭の中は真っ白になった。


























「・・・・・・・・・・アイツ、来てたのか」
「・・・・・リボーン」
のろのろと首を向け、一つ頷きお帰りと言ったツナはまた視線を元に戻す。
その眼は何処か儚げだ。
釣られるようにして見ればいつかのように突き破られた窓。
今朝見た時は罅一つ入っていなかったのに。
腐れ縁が何故来ていたのかがわかっていたリボーンは、自分が不在だったことと相変わらずじれったいことに舌打ちした。
見てるこっちがもどかしい。
言うなら言ってさっさと振られてしまえばいいものを。

今頃何処かを爆走しているんだろう同胞に低く悪態を吐いたリボーンには気付かず、窓が割られたことしか理解していないボスは悲しそうに硝子の破片を拾って嘆息した。
「そんなに風邪薬飲むのやだったのかな、コロネロ・・・」










あぁ、なんてじれったい!












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