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―― あれは彼の身体には毒だ。













あれ程の闘気を常に発しているなど、生命を通常の4倍の速度で消費してるも同じ。

ボンゴレのアジトにいる時から感じていた焦燥感。
彼の変化を初めて見た時、戦慄が走った。
周りの守護者達や部下は尊敬や畏敬の籠もった目でそれを見ている。


≪馬鹿だねーコイツ等。
なんで気付かないんだろう。あれってさ、≫



『気付いたか』

『…何のことでしょうか』
いつの間にか背後を取られていたことに舌打ちしたくなった。
それを解したのか黒尽くめの男がにっと口端を上げる。
『別にシラ切ってもいーけどな。
おめーの感じた通り、あれはツナには毒だ。死ぬ気なんて常時していいもんでも、繰り返してもいいもんでもねぇからな。
あれは人が普通なら死ぬまで関わることもない能力を最大限まで無理矢理放出させる。
命をギリギリまで削るもんだ。
ツナにも会った当初に軽く話したけどな』
でもあいつ覚えてねーんだろーなと元家庭教師は懐かしそうに苦笑する。
『…わかっていながら貴方は彼を放っておくおつもりですか』
『…俺にはその資格がねぇからな』
『資格?』


≪笑わせるよねぇ≫

アレが皮肉に口端を持ち上げるようにして嗤う。


彼にも聞いた。
この世界に彼を引きずり込んだのは紛れもなくこの男だ。
今更何を言っているのか。
罪悪感を感じる位ならば初めから手など出さなければ良かったのだ。
そうじゃなければせめて最後まで面倒を見るべきだ。
そんなものを感じなくなるまでは。

『そんなものがないからと見殺しになさるんですか』
『さぁな』
『貴方は…っ!』
此処へ来てから初めて感情が表へ出そうになった時、巨大な振動により、身体が揺らいだ。

「何だ?」
眉を顰める上層部に、室内に飛び込んできた部下の一人が血まみれになりながら走り寄り、倒れ掛かった。
「申し、上げます・・・ッ!!」
「どうしたというのだ!しっかりせんか!」
「て、き、襲です…っ!」
「何だと?」

「ミルフィオーレ、が…っ!」


それを最後に絶命した男を抱え、守護者の一人がゆっくりと此方を見る。
吊られるようにしてその場の者達の視線が自分に集中しているのがわかった。

徐々に破壊音が大きく響いてくる中で、彼の声だけが鮮明に聞こえた。



「どうしてなんだ、白蘭」
「・・・そういう契約だったからです」
「契約?」
「初めの内容とは異なりますが、奴らの目的はボンゴレの殲滅ですから。
満足だったんでしょう」
「白蘭は、何が望みだったの?」
「恐ろしいんです」
「え?」
「俺は貴方が恐ろしい」
「・・・・・・・・」

「俺の目的は、貴方からボンゴレから継承されし力を消し去ること。
・・・それだけだ」













































≪嘘ば〜っかり。
キミは嘘吐きだね☆≫













































俺は恐ろしかった。

彼を失うことが。





それを目的としてボンゴレに潜入したというのに、おかしな話だが。






≪でも結局キミはこの子には逆らえないよね≫






こんなにも安躇している時点で負けている。

何時の間に此れ程迄彼に侵食されていたのか。
だから彼には近付きたくなかったのだ。


≪甘いお菓子みたいだよね。まるで中毒だ〜っ☆≫


守護者達が骨抜きというのも強ち嘘ではなかったのかもしれない。


何が嬉しいのか彼が裏切り者の自分に近づいてくる。
後退る。
「白蘭」
やめてくれ。
そんな全て赦すというような微笑みなんて向けるな。
「ボンゴレ…、私は」
自分にはそんな資格なんてない。
「白蘭、有り難う」
「………っ!」
…やめてくれ。
泣きそうに、なる…。

「白ら…」













































聞きなれた、音が響いた



























































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