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小説【腐 夢 混在】
真冬の夜の夢【土方 夢】





家族なんか要らない。


友達なんか要らない。



心の底からそう思っていた。



土方さん。あなたがいれば。




それだけでいい。



そう思っていた。





死んでもいい。




今あたしが死んだって




誰も困らないでしょう?




























眠れない寒い夜


しん、と音を立てる真夜中



今年一番の冷え込みが続く


今夜の夜空には



漆黒の中に

凛然と煌めく星々が


ちかちか光を放つのが見えた




暗く沈んだ私の心に光をともす



彼のように







流れ星など流れてはいないが、


あたしは無心に空に祈る。



すがり付くような思いで、



たいした努力も苦労も

してないくせに


(今の状況から抜け出したい)と



ただ切に願う






あなたと二人で居たいのだと



叶わないことこそ知っている



叶わないからこそ空に願う



人に話しては笑われる



馬鹿らしい戯言のような願い







叶うことはないと


知っているからこそ



その思いは強くなる


自分でも計り知れないほどに






君は、どこにいるの?



どこで、何をしているの?





あたしの〔今〕は要らない。





こんな〔今〕は要らない。




どうなってもいい。



そう、

たとえ一日だけでもいい。



24時間をあなたと過ごしたい。



あなたのそばで、生きたい。





あなたに会いたい。


会いたい。


会いたい。





土方さん。










戯けた夢を見るために




あたしは今日もまた、



いつのまにか


睡魔に思考を委ねる。





甘ったるい妄想を蔓延らせる、


単純な思考回路。


そうして七詩は寝息をたてる。











目覚めない朝が

訪れることも知らずに。

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