小説【腐 夢 混在】
1010【土銀 銀時birthday】
パーーーーーンッ!
唐突に鳴り響く、クラッカーの音。
「銀ちゃん!」
「銀さん!」
「銀さん!」
「誕生日おめでとうアル!」
銀時が仕事から帰って玄関を開けた途端、
目の前に色とりどりの紙吹雪と、カラフルな紙テープが舞った。
「…………お前ら…」
そこには、神楽、新八、お妙の姿がある。
「銀ちゃん!いくつになったかなんて知らないけど、とりあえず祝うネ!」
「いつもありがとうございます、銀さん」
「そうそう、私銀さんのためにと思ってこれ作ってきたの」
妙の手のなかには、お約束のダークマターがある。
「……………あの…これ」
「今までで一番良い出来だと思うの!」
嬉々として話すお妙に苦笑いしながらやりすごし、
なんやかんやで賑わった誕生日会が終わった。
三人が銀時のために祝ってくれたのは心底嬉しかったが、
ひとつだけ心残りがあった。
土方に、おめでとうって言ってほしかった。
忙しいってのは聞いてた。
でもさ、電話の一本くれてもよくねえか?
恋人の誕生日に音沙汰なしなんてよ、
寝るか、と何度も心の中で思ったが、
日付が変わるまで起きていようと思った。
土方から電話が来るかもしれない。
乙女のような淡い期待を胸に秘めて、銀時はソファーに寝転がっていた。
「銀時、」
幻聴かと思った。
あまりに会いた過ぎて、俺の脳味噌が壊れたのかと思った。
でも違った。
これは紛れもない、現実だ。
土方が、ここにいる
「…悪ィ、遅くなっちまった…」
「土方……」
「銀時、誕生日おめでとう。
………もうすぐ日付変わっちまうな」
「土方ぁ………っ」
嬉しくて思わず土方に抱きついた。
すると、土方は少し驚いた顔をしたあと、優しく笑って俺を抱き締め返してくれた。
土方は、ポケットから綺麗な包装紙で包まれた小さな箱を取り出した。
「…これ、」
銀時が開けていい?と訊ねると、土方がいいよ、と言った。
その中には、
1010,Gintoki
0505,Toshirou
の文字が刻まれてある指輪があった。
銀時は何も言わず、
いや、何も言えず、
ただ歓喜の涙をこぼした。
すると土方がまた優しく抱き締める。
「生まれてきてくれて…ありがとう」
土方がそっとささやいた。
(あなたと共に生きていきたいと願う)
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