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小説【腐 夢 混在】
月光の鎖で繋がれて【土銀 束縛 ヤンデレ】










真選組屯所の縁側に座る二人の影が、障子まで伸びていた。




雲の切れ間から、月明かりが射している。





あと少しで満月だな。




銀時が膨らんできた月を眺めながら厠から戻り、土方の隣に座る。


すると、銀時の隣に座っていた土方が呟いた。








「………銀時、


なんでお前はすぐどっかにいっちまうんだ」



「え…厠に行ってきただけだろ」



「今のことだけじゃねえ」



「なんだよ、いきなり」


「いきなりじゃねえ。俺はずっと前から思ってた」


「…何をだよ」




「俺はずっと銀時のそばにいるのに、なんで銀時は俺のそばから離れていくんだ…」




「は?何言ってんだお前、」



「俺はいつもお前のそばにいるんだから、お前も俺から離れるな」


「…それは四六時中って意味か?無茶いうなよ、俺だって仕事があんだよ」



「仕事?何、言ってんだ…」


「何って、」














「お前、俺と一緒に住んでるだろーがよ。今は仕事なんかしてねェだろ?」











土方?




「え、な、…す、住ん、」



「俺が仕事から帰ってきてもお前いっつもいねえしよ。………やっぱりちょっと寂しくてな」



少し照れぎみに笑った土方を、呆然として見つめる銀時。


「住んでる…って、お前、」



俺はスナックお登勢の二階の万事屋銀ちゃんに神楽と定春と一緒に住んでて、新八も入れて三人と一匹で毎日依頼受けて過ごして………


「お前、いつも俺のいない間どこに行ってんだ?」


「な…それは、」






「銀時?どうした?お前、さっきから顔色悪いぞ」




よくわからない冷や汗が垂れる。






意味わかんねえ



俺と土方が一緒に住んでて、





待て、






じゃあ、神楽や定春はどこにいる?



万事屋は?







だって、今朝も依頼を……






今朝も?



あれ











何してたっけ



「………銀時、かわいそうにな




また、忘れちまったのか」




「……忘れた……って……何、を…」





土方が俺を抱き寄せ肩を優しく包んだ。



「ひじ、かた………?」





そして俺の目を見つめながら頭をポンポンと撫で、切なそうに笑った。








「ガキ共もでかい犬ももういねーよ」





「…!」





驚きのあまり、声がでなかった。




土方は、何をいっているんだ?






「お前が望んだんだろ?」














『銀時、俺のこと好きか?』


『んあ、す……すき』


『お前に必要なのは俺だけだよな?』


『ん……ひじかたいがい、なにも…いらな、い』






土方は口元を歪ませて、見たことのない笑顔をつくった。








『銀時、あいしてる』












銀時の脳裏に、昨夜の情欲に満ちた記憶がよみがえる。



土方の声が何度も頭の中を駆け巡り、目眩がする。





「嘘、だ」



「嘘じゃねえよ。


お前には俺だけがいればいいんだろ?






俺もだよ」








土方はそう言って、銀時に唇を寄せた。





無意識に閉じた瞳からは儚い雫が零れ落ち、溢れ、とどまることを知らなかった。



銀色に光る涙は月明かりに照らされ、黒い隊服にその影を落としていた。








ひじかたが、やったんだ










もう、万事屋は還らない。
















こんなの、俺は望んじゃいなかった




俺は、どうすればよかった?




なあ、ひじかた




いつからそんな風になっちまったんだ?




月の浮かぶ夜空の闇のような絶望が、銀時の心の中に残った










「銀時、明日は満月だな」


銀時を見て微笑んだのか、月を見て眩しがったのかどちらだかわからないが、

土方は目を細め、もう一度口づけをした。


























(俺の愛を欲しがったのは、お前自身だろ?)

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あきゅろす。
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