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小説【腐 夢 混在】
雨模様【土銀 甘】








空を覆い始めた灰色の雲をぼんやりと眺めながら、

いつもの万事屋の椅子に座って、足を窓の桟のところに投げ出していた。









土方と俺が、


付き合いはじめて二ヶ月。



土方はいつも真選組の仕事が忙しくて、なかなか時間がとれない。



副長だもんな。しかたねーよ。

……しかたねえ。



取れたときは取れたときで、大概日付を越えた深夜が多い。



その時は決まって、どちらかの家かホテルに泊まってヤるだけで終わる。




ヤるだけっつったらやるだけだ。


そういう意味だよ!

言わせんな恥ずかしいっ


そんなマンネリ化した日々で、ほんとにあいつが俺のこと好きなのか不安になってきた。



だって、なかなか昼間に会えねーし。



いや、俺も理解はしてるつもりだよ?


でもさ、仕事が忙しいのはわかるけど、

いつもいつも仕事仕事っていって会えねえと、やっぱ少しは寂しいだろ……




って言ったらわがままになるよな。



でもって俺も土方に好きとか言わねーし。


向こうからは言ってくるけどな。











「銀時、好きだ」



「愛してる」










ふと思い出してしまった土方の声が脳裏をかすめ、

ボッと顔が赤くなる。






「銀ちゃん、顔が赤いネ。

バカは風邪引かないんじゃないアルか?」



「うっせーな!

俺は天才だから年がら年中風邪引いてんだよ。

天才は風邪引きっぱなしなんだよ」


「意味不明アル」




赤面してしまったところを神楽に気づかれてしまった銀時は、

むちゃくちゃな返しでかわす。







俺が好きって言わねーから土方が愛想つかしちゃったのかな……


今付き合ってるのに普段会ってくれないのは、


俺とは体だけの関係でいいってことなのか?




……………やだ



土方と、


離れたくない




別れたくない






「…………よしっ」



「今度は何アルか」




「神楽、俺ちょっと出掛けてくるわ」



「こんな天気なのにどこいくアルか」




さっきまで怪しかった雲行きがついには黒い雲に変わり、雫を滴らせている。




「ナイショ」



「わたしもいくネ」




「わりィな、今日はちょっと駄目だ。

帰りにすこんぶ買って来てやるから」



「………仕方ないアルな」




「サンキュ、留守番頼むぜ」




そう言って俺は傘を持ち、万事屋をでる。




俺は公衆電話を探した。


見慣れた町並みの中の交差点の端に、それはたたずんでいた。


そして電話ボックスの中に入ると、もう覚えてしまった土方の携帯番号を押す。







呼び出し音が鳴り続ける。




プルルルルルルルル……………











プルルルルルルルル……………





出ねえな…………


やっぱ、仕事忙しいんだな







ガチャッ




「もしもし、」



「ひっ……ひじかた!」




出た………!!!!!



「銀時か!?

こんな時間に公衆電話から電話たァ、どこのどいつかと思ったぜ」



「…土方ッ、」


「なんだ、いきなりどうしたんだ?」






「す、




好きだッ」










「ぎ…




…………銀時」





言えた。


言えたッ…!







「…………俺も好きだぜ」







「土方………会いたい。



土方が仕事で忙しいのはわかってる。





でも俺、お前が好きだから、

昼間にも会いたい





俺は、いつでも土方に会いたい。



ただのわがままだってのはわかってんだけど、俺」







「なんだ、今日はやけに素直だな……………



わかった、

俺も頑張って時間作るよ」



「ほんとか……!?」




「ああ。



………銀時…


…今まで寂しい思いさせてごめんな………」





「いいよ。今俺、すっげー嬉しい」




電話の向こうの土方の、申し訳なさそうな優しい笑顔が見えた気がして、

俺は、少しはにかんだ。


「じゃあな、」




少したわいない会話を交わしたあと、また明日、と電話を切る。







俺は大江戸マートに寄ってすこんぶを沢山買って帰った。





いつのまにか、雨足は遠退いていた。












(秘めた思いを言葉にして、声にして、君に伝えて、愛を得る)

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