夢の終に…YUME−NO−TSUI−NI…
Page7.5 −間奏 2−
これは教団に来てリナリーと知り合って間もない頃、大元帥達やヘブラスカのもとに呼ばれた時のことだ。
「水琉よ。解っておるな???」
『…はい。』
≪わかってくれ…水琉、君を守るためでもあるんだ。≫
見守っていたへブラスカは申し訳なさそうにしていた。
『わかってるよ。へブラスカ。
イレギュラーなのは私だ。
…縛られても構わないさ。
てか、そうしてくれた方がいいと思う。
誰かを…リナリーたちを傷付けてしまう前に…。
それにさっ、こんなおぞましい自分、一番嫌いだし。
この発作、治さなきゃいけんでしょ。』
―糧にするのは自分のだけで十分だ…
ふっ…自らを食らってる自分は本当にイレギュラー過ぎるな…。
≪水琉…≫
水琉は哀しいセリフを笑顔で言っていた。そんな二人の会話を大元帥たちの言葉が止めた。
「それで、それはお前を縛るものだ。この帯は腕につけてもらう。」
『腕に・・・』
サポーターの上から腕をなでる。
「他の所を傷つけたとしても無駄だ。
定期的な検査の時に調べる。
これ以上傷をつけるな。
使い物にならなかったらこまるからな。
水琉、
お前はエクソシストなのだ。
自覚をしろ。」
―自分すら傷つけてはいけないの か??
てか、それじゃあ…何も……
「水琉、その帯は飢えの
発作がなければ取れる。
しかし、取ったところで禁を破ればお前の体は引き裂くような痛みが走るだろう。
ちなみに、その痛みはお前のイノセンスの力では消えぬようにしてある。」
「お前は人をこれ以上傷つけたくないと思っているな?
その心を信じ、呪印は、帯が外れた時で、禁を破った時のみ痛みが走るようにしてやろう。」
「はずせば飲めぬ、だが、はずしても飲めぬ。解ったな?その呪印はお前の体内に誰かの成分が入った地点で我らに知れるようになっている。そうなった時は・・・わかるな?」
『…はい。』
―自分が約束を破り禁を犯せば、監禁される。
そうなれば、リナリーを独りにさせることになる。
それは何としても避けたい…
水琉はうなずくしかなかった。
―私は、死んだ主がくれた、今の人生を少しでも役に立たせる為にも、
この秘密を知られちゃいけない…抵抗しちゃ、いけない…
こうして水琉は抵抗をせずに、腕には帯が巻かれ、背には呪印が入れられた。
一方、大元帥たちは…
「あのエクソシストにも役立ってもらわなくては…」
「飢えが回ればナーバスになって暴れる…
あれではもつだろうか…」
「だから、我々が治してやろうというのではないか。闘える様にするためにもな。」
「まぁ…様子を見てみようではないか。」
≪大元帥…≫
「なんだ?へブラスカ。」
≪あの水琉に施した呪印…
本当に帯をはずした時に有効なのか??≫
「ふっ、お前はごまかせぬようだな。あの呪印はどんな時でも有効だよ。
勿論、帯を付けていてもだ。」
≪それでは、
水琉を信用して…というのは…≫
「あぁ、そうでもないと大人しく付けてくれんと思ってな。」
≪あと、他の者を糧にした時、我らに知らせが来るというのは本当なのか?≫
「あぁ。本当だ。
水琉のイノセンスは寄生型であろう?あ奴の体内のイノセンスは血液をエネルギーの源として結合させてしまう効果がある。その変化にセンサーをつけた様なものだ。」
《では、大元帥、あえて血を提供して力を増幅させて闘わせた方が良かったのでは??》
「ヘブラスカよ…それは、あ奴を試した後、それ程の価値が見出だせたら最終手段として、とっておくよ。」
「さて、
どこまで言いつけを守れるか計ってやろうではないか…」
大元帥たちのやり取りは聞くに堪えなかった。
まるで、エクソシストが道具のようだった。
へブラスカは、
そして一言つぶやいた。
―水琉…すまない…
と。
水琉はこのあと、
4年程、凄まじい苦しみの中で
生き抜くことになる。
だが、その後、
人の暖かさと優しさに触れて、
大切な感情を覚え、心を救われていくが、
それを知った故に
その時よりも酷い苦痛に水琉は苛まれていく……
第1章 ⇒了
再編集…H20.6.28 saT...完了
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