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第二の人生


7

つ、と主の視線は奥の間へ、真紅の絨毯の伸びる向こうに。
つられて騎士の顔も向けられる。

「な……!?」

目視の範囲に在ったのは、一人の“男"だった。

魔王の伴侶が男性だとは

それだけでも騎士には信じがたい事実だが、問題はその男の現在の姿であった。

両手両足を拘束され、口には布で、猿ぐつわを噛まされている。

黒装束のその男は、青年への過渡期と思われる幾分未完成な体躯。
後ろ手に縛られている為、満足に起き上がる事も出来ず、しかし真っ直ぐに騎士と少年王を睨んでいた。

横倒しの頭を床に擦り、僅かな抵抗。

騎士は、魔王の伴侶の予想外な姿に目を見張らせ、そのままの表情で主君に問う。


「あれは、陛下が、」
「そうだ。突然、恥じらい始めたからな」

曰い、頬の傷をうっとりと撫でる王に、騎士の不安は膨張。
だが顔色を改め、国の僕として明確に進言する。


「魔王が気付くも時間の問題、…あの者の処遇と、我々への御指示を仰ぎたく」
「あれは地下で“狭間"の二匹に隠させろ。何、此処に居なければ奴も手を出す道理は無い」

王の効率的な答えに納得は出来ない。
伴侶を奪われた
例え一国の長で無くとも感情的になるだろう。

“二匹"と言い捨てられた匿れ者の召喚師と使い魔に、一時的に存在を隠させるのは妥当案かもしれないが、姿が見えないからと言って、魔族が踏み込まない確証は無いのだ。


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あきゅろす。
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