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第二の人生


8

少しの気まずさをごまかすように果物を咀嚼しながら、改めて男を見る。

「城の誰かが、東の人にバラしたのか?」
「そうだ。裏切り者がいる」

事も無げに無感情な答えが降る。

はて、他国の王様の結婚がバレてそんなに困るもんだろうか。
それも久しく付き合いの無い国の花嫁なんて別に重要とも思えない、とは考えたものの、即時豆電球が光る。
なんの事も無い、ここまで男やソルトさんが外界に警戒するのは“おれ"じゃなくて“裏切り者"が居るってのが一番の理由なんだろう。
直ぐ気付かないおれの頭は大分危機管理能力が地を這いずってるな。

すまん。
不謹慎にもちょっとだけ、肩が軽くなった気がした。

男は最後の果物を切り終え、くるりと視線を回す。
男の目が捉えたのは、忠実な部下のゼノ。


「………ゼノとは話したか」
「おー!」

話題転換。
途端に声が弾んで、嬉々として御報告に走るおれ。

「なんか許しが出たとかって」
「……昨夜、許可した。怖くは無かったか」
「うん。おれ、ゼノとしゃべれて嬉しい」
「そうか」


良かったな、と少し表情を緩められて気持ちが明るくなる。
こいつはたまに意味不明に機嫌を損ねたりするけど、基本的には大らかだ。
こんな風に一緒に喜んでくれるとなると、普段同調する相手の居ないおれには結構嬉しい状況である。

ゼノは反対にそっぽを向いて我関せずを貫いているが、実のとこ気恥ずかしいだけなんじゃねえのと推測してしまう程には、おれの思考はプラスに向かっていた。



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あきゅろす。
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