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第二の人生


にぎやかな夜


「え、え、ゼノ?」
「何だ」
「何だって、それおれのせりふー…!!?」


黒毛から覗く白いキバ、赤い舌がすらすらと言葉を放つ。

「俺が話しているのがそんなに信じられないか」
「わあっ」

思わず上げた悲鳴に、ゼノはうるさいと言わんばかりに耳を伏せた。
はあ…
と吐かれた息は、確かなため息。
いつものゼノと少し違って見える。

ゼノがしゃべるなんて聞いて無い。
巨大化するとこはさすが魔族の犬なんだなあと思ってたけど、だ、誰も言ってくんなかった…!

「今まで話さなかったのは、お前を怯えさせないようにとの魔王様の御配慮だ。昨晩、魔王様から御赦しがあったので」

なんてこった、これは…

「わあ、すげー…!しゃべるのかゼノー!!」
「ぎゃ!な!?」


……感動だ!!

神妙になんか呟いてるゼノを無視して硬やわこい毛皮に一目散、きつく巻きついた。
嫌がる仕草もいつもなら無言、でも今は、ずいぶん賑やかだ。

「離せ!」
「嬉しいから無理っ!」
「嬉しい…?狂ったか?!」

犬が話すなんて普通は恐怖だ。
だけど伊達にここで生まれてなんぼのおれはビックリ程度に留まった。
まあ、やっぱ嬉しいのが勝ってんな!

落ち込んでた時とか、結婚決まる前に守ってもらったのとか

「おれの言うことちゃんと理解して慰めてくれたり、したんだー…!」




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