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第二の人生


2


「いや、その、違う断じて違う。あれは魔王様の御命令で」
「おれゼノ無しじゃへこみまくってたもんよー」
「誤解だ!!」
「いいけどさあ……撫でられんのは好きだろお」
「な……!?」


おれが言うと、ぴしりと固まったゼノはたっぷり間を空けて暴れ始めた。

「ごご誤解だ!!!!」
「またまた!撫でてやっからさあ〜いいだろお、ゼノ〜」
「違うっ!!」

わたわたするゼノの声は意外と渋い。
おれの押さえつける腕なんか簡単に振り払えるのに、そうしないのが優しい。
耳の根元をかしかしと掻いたら、ずいぶん経って、観念したみたいに抵抗を止めてくれた。
粘り勝ちだ!

「お加減いかぁっスか〜」
「…………好きにしろ」

出てくる言葉は、しゃべらなかった時と違和感も無い。
久方ぶりの幸福感に顔を崩して、おれはゼノにじゃれた。





「なー、寝る時も、ここ居ろよお」
「そんな畏れ多い真似が出来るか!」
「だって別に、あいつが増えただけだし…」


夜が更けて、体内時計で活動時間の半分を雰囲気的に悟る。
あれから男は戻らなくて、おれとゼノは気兼ねなくだらだらと時間を潰していた。

腹へった。
飯くいてーとうるさい胃袋を持て余し、改めて自分のお気楽なご身分に嫌悪が走る。
働かざる者食うべからず、とは代々平々凡々な中流下部を地でいく高木家の家訓みたいなもんで、生前のじいちゃんからも酸っぱく言われてたこった。

活動的な性格って訳じゃないが、寝て起きて食って絵本読むだけの今の暮らしを考えると……妙な焦りと罪悪感が浮かんでくる。


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あきゅろす。
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