[携帯モード] [URL送信]

高銀(長編)
ー5ー今も昔も…完

━━━━━
━━━━━━━…

あれから、一年経つ頃には戦争は終わってしまった。
バラバラに別れた俺たちは会うことは無くなって…

この約束も無くなったんだよな。

止まった時間

日捲りカレンダーを見れば、今日は8月10日。

これも何かの運命なのか…


紙切れを握り潰してゴミ箱へ捨てると、黒電話の受話器を上げた。


そして、慣れた手付きで番号を回す。




「あーオレオレ。
…違う!オレオレ詐欺じゃないから!ヅラ!聞けよ!!銀さんです!

高杉って今どこに居るか分かる?


…へ!?江戸にいんの!!


かぶき町の…わかった。ありがとう」


受話器を置いて、俺は玄関に走った。

「神楽ーちょくら出掛けくるからな」


返事を待たずに家を飛び出して、ヅラが高杉を見たという場所に全速力で走った。


会って何を言う?

さぁね。


無性に会いたくなる時ってあるよな。

あの時の高杉の幸せそうな顔を思い出すたび、

心が締め付けられる。


あの日
何故一緒に行かなかったんだろうって


何度後悔しても変わらない過去。
でも今の人生も捨てたもんじゃない!ってくらい幸せだ!!

高杉を発見したと言われた茶屋に顔を出すと、紫色の蝶模様に女物の着物…


高杉に会いたくて
会いたくて


「お兄さん、御酌しましょうか?」


声をかければ

また

あの時みたいな驚いた表情。


「会いたかった…高杉」

誕生日おめでとう。




HAPPY BIRTHDAY
高杉晋助 2010.8.10


いつまでもお幸せに

[*back]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!