高銀(短編)
高杉君の夏休み(高誕2012)
真夏の日差し…
地球が人間を滅ぼそうとしてやがる…
だから俺ァ言ったんだ。
“この世界をぶっ壊す”ってよォ。
あー…何で俺は今
砂浜のビーチパラソルの下、真っ青な海を眺めてんだ。
〈高杉君の夏休み〉
8月8日の夜、突然来た電話。
『毎日暇してる高杉君!8月10日は海に行こうぜ!!俺んちに8時集合な!遅れたらお前の家に腐ったイカ送り付けてやるからな!!じゃ!…プープー』
一方的な銀時からの電話だった。
つか、腐ったイカとかマジでいらねェんだけど。
まぁ、銀時からのデートに断る理由はないが……何かありそうな予感を感じた俺だった。
当日、8時ぴったりに銀時の家に行くと何やら騒がしい声が外まで聞こえてきやがる。まさか……
「お!やっと高杉来たな!!」
「貴様8時集合なのに何故8時に来るんだ!!10分前行動をしろ!!けしからん」
「ほれ高杉!このシャチちゃん車に運ぶ手伝いしてくれんかのー」
何故バカ二人(辰馬とヅラ)がいるんだ?
俺は銀時に呼ばれて二人で海に……
「おい銀時!なんでこのバカ達もいんだよ」
「え?別にいいだろ。俺お前に『二人で』何て言ってねーしよ(笑)ほら早く車に乗れよ!!」
「高杉!助手席は俺だからな!」
「ヅラは酔いやすいけんのー。忘れ物せんと早よ行くぜよ!!」
あれよあれよと言う間に車に乗せられ、何故か4人で辰馬のワゴン車で海へと発車した…。
毎日夏休みは銀時と遊ぶかバイトか、家で寝てるかそろばん塾に通うかで……
この4人でどっかに出掛けるなんざ何年ぶりか。
いや、そんな甘っちょろい考えじゃねェ!!!
海に着けば、
ほぼ無理矢理服を脱がされ海パン姿にさせられパラソル立ててシート敷いて3バカトリオは俺をパラソルの下に置き去りにしてどっかいきやがった。
マジで何なんだアイツら………
海に来たからには海に入ろうと海辺に行けば、知らない女共が寄ってかかって話し掛けてくる始末……
このどーしようもない怒りをどこにぶつけりゃいい?
「お兄さん1人ならあたしらと遊ぼうよー!」
「めっちゃタイプなんですけど!!」
「遊ぼうよ♪」
「メス豚共が…このっ」
「はーいお姉ちゃん達、このイケメンお兄さんを怒らせちゃダメよ?浜辺に埋められちゃうからねー」
「はぁ!?誰あんた」
「銀時ィ…てめェどこ行ってやがった!!!」
ギャーギャー喚く女共を銀時があしらいながら、コイツは俺の頭を叩いた。
「お前こそ待ってろっつったでしょうが!!だからわざわざ銀さんが迎えに……ブツブツ」
「はっ!てめェらこそ…勝手にどっか行きやがって……」
「えっ?何ですか?晋助君まさか寂しかったの?可愛いなーもうこのこのー」
「殺されてェか銀時ィ…」
浜辺で殴り合いの乱闘が始まる瞬間、ヅラが俺と銀時の頭を思いっきり叩いた。
「「っ〜〜!!!!!!」」
「馬鹿者!!今日は喧嘩しに来たんではないぞ貴様ら!!!」
「ほれ金時!おんし用の浮き輪じゃ」
辰馬が海の家から借りてきた浮き輪を銀時にすっぽりと嵌めた。
良くヅラと辰馬を見れば、浮き輪にシャチにバナナボート…etc.海を満喫するような物ばかりを持っていた。
「さて、遊ぶぞ高杉!」
「今日はハメを外して遊びまくるぜよーあははは!!」
「ほれ、高杉!笑えよ」
俺は意味がわからなくて首を傾げた。
なんだ?
今日はやけにコイツらは「高杉」「高杉」って。
「勝手に遊べばいいだろうが。俺は面倒くさ…」
「高杉…今日は何の日か忘れたのかよ」
銀時の言葉に俺はもっと首を傾げた。
海なんざ好きでもねェし、銀時と二人きりでもねェし、暑いし焼けるし良いことねーだろうが。
「はぁ…今年で俺らは高校卒業じゃん?だから…俺、忘れられない夏休みにしたいんだ」
「銀時の言葉には俺も辰馬も同感だ。それには高杉が必要なんだ……わかるか?」
今日と言う日も何だかわからねェ。
何故コイツらがこんなにも真面目に言ってんのかも理解できない。
そして何故海なのか…。
「このチビ助に何言ってもダメじゃ金時」
「はぁ?んだとモジャ毛が」
「はぁ…全く高杉というやつは。何も知らな過ぎではないか?銀時」
「高杉らしいっちゃーらしいよな。ま、いいやバカにはちゃんと言ってやんなきゃな!!」
やれやれ、と言う顔の3人に腹が立ったが俺が黙っていると銀時が俺の後ろに立ち……
そして海まで背中を押して、何か理解したヅラと辰馬も加わり二人に足を掴まれた。
そして、、、
「高杉晋助!!誕生日おめでとうございますだコノヤローぉぉぉぉぉぉ」
叫びながら俺は海に投げ飛ばされた。
そして盛大な水飛沫を上げて俺は沈んだ……
「ぷぷぷー!1回死ぬ前に高杉を海に投げ飛ばしたかったんだよね♪…逃げろ辰馬!ヅラ!!」
「シャチに乗れ!銀時!!逃げなきゃ鬼に殺されるぞ!!!!」
「高杉ー大丈夫かー溺れてないかのー?」
「てめェら!!!ぶっ殺す!!!!」
海に逃げた3人は果たしてどうなったか……
それは俺しか知らない。
「ギャャャーー銀時が捕まったぁぁぁぁ…………」
だが、忘れられない夏休みになったのは確かだ。
それから1週間、銀時は毎日俺の家に謝りに来た…と言うのはまた別の話。
8月10日
HappyBirthday高杉晋助
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