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高銀(短編)
♂同士って気持ち良いね!
 


俺は白く美しい身体を抱いた。


穢れのない綺麗なこの身体を抱くのに俺は一瞬躊躇った。

だが、銀時は静かに笑って俺の首に腕を回した。



そして一言

「高杉…俺を汚してくれよ」







〈♂同士って気持ち良いね〉





やっちまった…


あの殺し文句はなしだろう。耐えられるヤツを見てみたいモンだ。
理性なんか全て無くしちまってヤっちまった…。


自分の下で気を失っている銀時を見下ろしながら頭を抱えた。





昔から、いや、出会った時から俺が想い焦がれていた坂田銀時。
恩師を無くし、悲しき戦争が始まり銀時はいつもとかわらないヘラヘラした面して「大丈夫だ」と言うが、俺にはわかってた。



コイツは本当は弱い。
心も身体も弱いんだ。
だが、他人に心配かけたくねェ…大馬鹿野郎なんだ。


昔からの付き合いの俺には銀時の気持ちが痛いほどわかる。
恩師を無くした想いは人一倍だっただろうに……なのに涙1つ見せず、この戦争に参加したのは先生を殺した復讐なんだろ?
俺だってそうだ。



俺だってアイツ等が憎くて憎くてたまらない!!

だが、アイツ等にテメェが殺されるかもしれねェと日々思いながら俺は心底心配している。

柄じゃねーっとのはわかる。死ぬ気で皆戦ってらァ。俺だって。

でも銀時だけは…
死んで欲しくない。

それは俺がアイツ、銀時を好きだからだ。






そして昨日、
俺は銀時の部屋に行った。
理由は明後日の戦に備えてアイツに作戦を伝えるため。

部屋の襖を開ければ銀時は風呂上がりらしく、髪は濡れ上気した頬に、はだけた着流し。

俺は無意識に銀時の身体を抱き締めていた。


なんか…その、アレだ。耐えられなかったっつーか、獣の疼きがしたっつーの?

やっぱコイツはイイ匂いがしてやがる。肩に頭を預けると驚いた銀時が俺の背中を叩いた。





「おおおおい高杉君!?セクハラ!セクハラ容疑で訴えるぞ」

「……好きだ」

「はっ?え…今なんつった?」

自分でもわかるくれェ声が震えてやがる。
抱き締める腕を強くしてもう一度「好きだ銀時ィ」と耳元で呟いた。



「テメェは死ぬな。絶対!あいつ等に復讐したら…俺と一緒に居てくれ。銀時」

「高杉…」


そして銀時は大粒の涙を流して泣いた。



組み敷いた銀時の身体は本当に綺麗で綺麗で。
壊れちまうくれェの細い腕を掴み、銀時の瞳をじっと見つめた。


何色にも染まらない白。
変わらない目の奥の深い情念。
あぁ…全てが美しい。



「俺を汚してくれよ」







そして冒頭。



あぁぁぁ…
初めてだからもっとこう、丹念にゆっくり味わいたかったのに俺としたことが。
可愛く喘ぐ銀時に理性を失い餓鬼みてェにただただヤりまくっただけじゃねーーか!!!!!



しっかし…

俺の苦悩なんか知らねェような面して、気持ち良さそうに眠る銀時の頬に俺は手を添えて額に口付けた。


それから何度も額に、頬に、唇に、首にと口付ける。
首筋に吸い付き紅い跡を幾つか残して満足気に跡をなぞると、銀時がうっすらと目を開けた。



「んっ……高杉?」

「起きたか銀時」

「…腰痛ぇ。喉痛ぇ。ダルい」


起きて早々ンなこと言うなと思うが、銀時はじっくり俺の顔を見ている。


何だ?



「どうした」

「あ、いや…俺達ヤったんだなーって思って」

視線を外す銀時はばつが悪そうだ。
俺は銀時の顔を両手で挟んで、自分の方に顔を無理矢理向けさせた。




「後悔してんのかテメェ…俺はしてねェからな!覚えとけ」


若干後悔はしたが、ヤった行為については俺は後悔なんかしてねェ。
「好きだ」と言った言葉も全部。



銀時はしばらく驚いて瞬きをしたが、クスッと笑って俺の唇に自分のを当てた。
今度は俺が驚いて瞬きをしてしまった。





「後悔なんてしてないさ。お前何回俺に“好きだ”“愛してる”って言ったよ」

「…覚えてねェ」

「嬉しかった。俺も高杉が大好きだったから…夢かと思った。でも、」



銀時はフワリと笑って俺の首に腕を回した。


「目が覚めたらきっと高杉は居ないって思ってた。けど、今目の前にいる」

「…銀時ィ」




我慢出来ずに銀時の唇を貪った。
舌を絡ませ、口内を蹂躙し、溜まった唾液を銀時に流し込めばコクリと飲み込んだ。


そして、潤んだ瞳で俺を見つめる銀時に俺はまた喉が鳴った。


愛しい…
可愛い…
俺の銀時ィ…





「あっ、高杉…」


「なんだ?まだ戦まで時間あるぜ」

汗ばむ額の髪を掻き上げてやりながら俺は冗談混じりにそう問えば、銀時から今生聞けないかもしれない今世紀一番の言葉が出た。






 「男同士って…気持ち良いね」

「っ…銀、時」


その顔も真っ赤で、いっそ誰にも見せたくないくらいに可愛くて………俺はまた銀時をがむしゃらに抱いてしまった…。




これは俺のせいじゃない。

銀時が俺を無意識に煽ったせいだ!!!!
その日の戦前の会議には二人とも遅刻し、桂にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。



それから銀時は1週間高杉に禁欲命令した…













完、

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