[携帯モード] [URL送信]

高銀(短編)
高杉の嫌いなモノB完(拍手文)
高杉の嫌いなもの
パートB完結!



――――


高杉晋助という男は完璧な男だ…と思う。

容姿もいいし、強いし金持ち。それに頭も良い…マジ残りの人生くんねーかなー


第一回高杉の嫌いなモノ…高杉に与えてはならないモノは『チョコレート』でした。

第二回は遊園地に連れて行き『観覧車』が苦手だとわかった。

まだまだ終わらない銀時の嫌いなモノ探し…




※さて、今回は高杉視点で始めます。





最近馬鹿(坂田銀時)は俺の周りをチョロチョロ嗅ぎ回ってる。
なんだ、俺の苦手なモンを探してるらしい…


ンなこたァ俺に聞きゃあいいのに、彼奴は馬鹿だからなァ。

ま、そこが可愛いんだがよ。



1週間俺は京に滞在し、窓辺から見える月を見ながら酒を煽っていた。


離れていた時期が長い分、今になってよりを戻せることになるなんざ…夢のような話だ。

今も彼奴のことを考えちまう。仕事が無きゃ1日中一緒に居てェな。



我ながら女々し過ぎる思考を晴らすために杯の酒を一気に飲み干した。




「晋助、お主また白夜叉のこと考えてたんでござるか」

「…うるせェ。なんでテメェにわかる」

「無意識か。時折お主が柔らかい表情になる時がある…今もそうだ」

「はっ、ジロジロ見てんじゃねェ。気持ち悪ィ」


グラサンの所為でアイツの表情は見えねェが、万斉は笑っていやがる。
三味線の音が心無しか浮き足立ってるし…。

チッ。



「白夜叉は晋助のなんでござるか」

「…さァてな。知ってっか?彼奴ァいい年してガキみてェなんだぜ」

「して?どこら辺が」

「幽霊なんざに怯えやがるし、甘いモンが好物だし。それによ、病院嫌ェだ。特に歯医者に行った時ァ笑えるぜ…ククッ」

「…精神年齢が低いでござる」

「あァ?テメェ如きが銀時の悪口言ってんじゃねェよ」


(…イヤイヤイヤ!?悪口言ってたのは晋助でござるぞ!!何故拙者に話すか…あ、ノロケか。面倒くさっ超面倒くさいでござるよ晋助)


べチン、と三味線の音を外した万斉に一瞥し、また酒を煽った。



銀時ィ、俺の嫌いなモンはな…“退屈”と“我慢”だ。



徐に立ち上がった万斉は襖を開けて振り向かないまま声を出した。
「はっ!言ってろ。やっとわかったじゃねェか、俺の嫌いなモノ」


夕暮れの桜の下で、俺達はずっと笑い合った。
綺麗な花はいずれ儚く散り行くもの。

銀時はいつか俺の前から散っちまうのか…


それは今はわからない。
今を大切に生きて行こうや。俺の気持ちは変わらないからよ。







俺の嫌いなモン
それは…
“退屈”“我慢”“銀時の居ない世界”



完、

「明日船を用意する」

「…どっか出掛けんのか」

「拙者ではない。晋助の船を用意する…白夜叉のもとに行け。せいぜい、3日間だけでござるがな」

「ククッ、頭に乗るんじゃねェよ。…が、3日もありゃァ十分だ」

「自由に江戸でイチャイチャしてこい!!もうノロケ話は拙者こりごりだ。また子殿もな」


ピシャリと襖を閉める万斉に俺はククッと笑った。

イイ部下を持ったなァ。たまには空気読めるようになったんじゃねェのさ。


「月がでけェな」


最後に一杯酒を飲み干し、窓をゆっくりと閉めた。





――
―――……


「はーい誰ですかー…って、あぁテロリストさんですか。お引き取り願います。こちとらラブ&ピースなんで。一般ピーポーなんで」

「会って早々ラブたァ、テメェも積極的になったモンだ」

「えぇぇぇ!!!ツッコミたいけどもう面倒くさっ!!ラブだけ聞き入れるお前ぇの耳がすげー面倒くさっ」

とか言いつつ、案外嫌そうにしてない銀時。


「まー、せっかく来てくれたんだけどさ…今久々の掃除中なわけよ。ちょっと町ん中歩こうぜ?」

確かに万事屋の中はあちらこちらに物が散乱中だった。
「…テメェよォ、部屋は綺麗にしとけ。埃臭ェ奴ァは嫌いだ」

ボソッと呟いた言葉に銀時は「マジか!?お前埃臭い奴が嫌いなのか」とかマジで問うてきやがる。


「そういやテメェ、俺の嫌いなモン探してんだってな?馬鹿馬鹿しいことしてんなァ馬鹿」

「な!なんで知って…いや、馬鹿って3回言ったなお前!!傷付いちゃったーもう銀さん傷付いちゃったよー高杉帰れよ」



チッ…こういうコイツの態度が苦手だ。
なんて言やいいんだか分かりゃしねェ。いっそぶっ殺してーが、我慢。…チッ、我慢も嫌いだ。



「わかった。帰る」


…本気で帰りたくなってきた。1週間銀時に会わなくて耐えらんねェのは俺だけか…

コイツは昔から淡白な奴だったから“会いたい”の一言が言えりゃ可愛いんだがな…


「じゃあな」

「え…帰っちゃうのか」

ぎゅっと掴まれた裾。
俺は銀時の面を見れば真っ赤にしながら下を向いて、

「悪かっ…た。まだ帰るなよ高杉」


素直に言えや。下を向く銀時の顎を掴んで、ニヤリと笑った。


「久々に町ん中歩こうや」


銀時はキスされるとばかりに思ったのか、何もせず軋む階段を降りる俺の後を時間差で付いて来やがる。



「高杉ぃ〜」

「なんだ」

「調子乗って真選組に捕まんなよ」

「幕府の狗っころに捕まるほど堕ちちゃねェさ。テメェはよく捕まるってヅラから聞くがな」
 「ヅラめ…高杉に何教えてんだ。別にヘマして捕まった訳じゃねーかんな!!つい…ついな、イライラして近くの壁壊したり、パトカーを蹴り飛ばしたりしただけだから!」

「…捕まっちまえや」


たわいない話をしながら、河原に辿り着いた俺達に見えたものは…


咲き誇る桜の花。


「咲いてんな桜。あと1週間遅れてたら全部散ってたかもしんねーぞ」

「チッ…万斉に借りが出来たな」

「は?なんか言ったか?…まぁ、高杉と桜見れて良かった。お前好きだもんなー昔っから」


へらへら笑う銀時を置いて、俺は桜の下に腰を下ろした。隣にどかっと座る銀時の手を握り締め、ククッと笑った。



「たまにはこういうのもイイ」

「気張り過ぎんなよな?高杉」


少しの間沈黙していたが、俺はゆっくりと口を開いた。


「俺が一番嫌ェなモン、わかったか?」

「…さぁ。わかんねーよ、なんかあるの?完璧なお前の嫌いなモンは」



「テメェの居ない世界だ」



一瞬、銀時は目を見開いて驚いたが一気に口を魚のようにパクパクと動かして…


「なななな!!!!おまっ、よくそんなこと恥ずかしくもなく言えたな!!俺が恥ずかしい!俺が恥ずかしい」

「テメェ以外に言わねェさ。言うつもりも無い」


チラチラ俺の方を見ながら銀時は小さく呟いた。

「鬼兵隊はお前にとって…どうよ?」

「俺の命かけるくれェ大事だ」

「…お、お…俺は?」

「命以上に大事だ」


銀時はワケがわかったのか、外では絶対距離を置くくせに大胆にも銀時から唇にキスしてきた。


「大事にされてるな銀さん」

「やっとわかったか。馬鹿」

「高杉の弱点は俺かー俺か…うん。高杉大好き、そんで馬鹿はお前だ。他の人に言ったらドン引きよ?総督キモーイってな」
「はっ!言ってろ。やっとわかったじゃねェか、俺の嫌いなモノ」


夕暮れの桜の下で、俺達はずっと笑い合った。
綺麗な花はいずれ儚く散り行くもの。

銀時はいつか俺の前から散っちまうのか…


それは今はわからない。
今を大切に生きて行こうや。俺の気持ちは変わらないからよ。







俺の嫌いなモン
それは…
“退屈”“我慢”“銀時の居ない世界”



完、

[*back][go#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!