高銀(短編)
喧嘩するほど仲が良い(久しぶりのギャグ高銀)
「その服気にいらねェ…」
ふと呟いた高杉の言葉から始まった。
〈喧嘩するほど仲が良い〉
昼間っから万事屋にやって来た過激派テロリスト高杉。
堂々と人ン家にやって来てはソファにふんぞり返って煙管は吸うわで…え?ここ俺の家だよね?家賃は払ってないけど万事屋銀ちゃんだよね??
しかもここは禁煙でっす!!!
そして流石は過激派馬鹿。
来て早々に俺のベストファッションを否定しやがった。何が「気にいらねェ」だ!?今まで何も言わなかったのに今更!?
軽くショックだし軽くムカつくんですけど。
言葉を慎め!!
「これ、今風流行ファッションでしょーが。お前にだけは言われたくねーよ、この和風アナログ野郎が。あ、銀さん最先端いってっから高杉君はついて来れないってか!?あはは」
「和と洋混合して何が最先端だ馬鹿野郎。江戸も京もンな格好の奴ァテメェ1人だぜ?だらしない極まりねェ」
「何を!?つか、ここ禁煙!…げほげほっ」
ふぅーと隣にいる俺の顔に煙を吐かれて咽せ返る俺をクツクツと笑いながら、高杉はまずズボンを引っ張った。
「ベルトが外しずれェんだよ。あと脱がすのが手間ァかかってしゃーねーや」
「あ…脱がしずらくて気にいらねーのか。って!!この変態!テメェなんか下着で歩き回ってるみたいな格好してんじゃねーか!?薄いし寒そうだし腹壊すぞ(笑)あーあ恥ずかしい!」
すると、高杉は自分の胸元をガバッと開いてニヤリと笑った。
「着流しはいいぜ?すぐに脱げるし、すぐにテメェを抱けるしな。ククッ」
「変態!痴漢!言葉のセクハラですよ!?つか、いつもお前着流し脱がねーでヤるじゃ…っ」
「テメェだって言葉のセクハラだろうが。なんだ脱いで欲しかったんか…気づかなかった」
「ううううるせー!!!そして何その勝ち誇った顔!やめろ見るな!」
本当に頭の中はエロいことこの上ないぜ。
エロテロリスト高杉…
んで、なーんか俺のズボンのベルトを外してんのは気のせいかな?
「ちっ…ほら脱がしずれェ」
「やめんかァァァお前マジ人の話しに興味持て!そして手を止めろ…いや、止めてください。触らないで下さ…んぐっ!」
煩い、とばかりに高杉が吸っていた煙管を俺の口に無理矢理差し込んだ。
「いらねーよ!げほっげほ」
「ちったァ静かにしてろ。口閉じろ。息吸うな。口答えするな」
「何だその4訓は!?俺の意志は無視ですか!?つか、死ぬよ銀さん!!!!…って脱がすな」
いつの間にかズボンは抜かれ、素足になっていた。スースーする!!寒っ!
反射的に脚を閉じれば、太腿に高杉が口付ける。
「昔から変わらねー白さだなァ」
「っ…変態が」
今後は上のインナーを脱がそうとチャックに手をかけたのをガシッと掴んだ。
「…わかった。馬鹿杉、自分で脱ぐから動くな。フリーズしてなさい」
「初めっから自分でやれや。面倒くせェことさせんな」
…何コイツ。
自分で脱がせ始めたのに、初めっから自分でやれって。何様?あー…高杉様か。我が儘魔王の高杉様か。世界は自分の思い通りに動くってことしか信じてない高杉様か。
もういっぺん死ねや!!!!
とも言えず…鬼の形相でインナーを脱ぎ、着流し一枚を着ている状態になった。
「寒い。恥ずかしい。ダサい。外行けない。もう着ていいですか?」
自分の体を抱きしめるように腕を組みながら、高杉に聞けば…この我が儘魔王は首を傾げ、
「やっぱりよォ…その着流し自体が気にいらねェな。もっと派手な…」
「シャラァァァープ!!!」
バチーン!と音を鳴らして、高杉の両頬を自分の両手で叩いた。
真っ赤に染まる高杉の頬を見てちょっとスッキリ。
「あのなぁ…人には人の趣味や好きなモノとかあるわけよ。アンダスタン?だからね、お前の趣味とか押し付けんのはやめろよな。こンのジャイアンが」
高杉から殺気じみたオーラが放たれてはいるが、俺には慣れたもの。
わかったか、と高杉の額を今後は軽く叩けば高杉はムスッとして俺をソファに押し倒した。
「テメェは誰のモンだ」
「…銀さんのモン。決して君のではないよね?ね」
「テメェのモンは俺のモン。俺のモンは俺だけのモン」
「ジャイアンかお前ぇは!?」
すると高杉は目を細めて笑い、耳元でこう言った。
「俺の色に黙って染まれや。好きな奴にしか俺ァ我が儘は言わねーよ」
「お前の着流しみてーに、頭ん中は蝶々飛んでんのか?高杉色に染まったら江戸を全裸で走り回るくらい危険なんですけど…」
「ククッ照れてるのか?悪態つきながら顔真っ赤にしてよォ」
あーもう!
高杉なんか…高杉なんか…………
「大っっっ嫌いだ!!!」
「何とでもいいやがれ。俺には大好きだ、しか聞こえねーようにしてやっから有り難く思いな」
「誰か高杉に通訳してあげて下さーーい。ヘルプミー」
ジタバタ暴れながらも、高杉に力ずくで抑えられ…何度も何度もしつこーく唇を奪われた。
「ハァ、馬鹿の相手は疲れる…」
「それは高杉の言葉じゃねーから!!馬鹿はお前だろうが。なんでお前疲れてんの?俺の所為?ウッゼー」
「ハイハイ、好きってテメェは俺に何回言ってやがるんだ。可愛いなァ」
あぁ…疲れた。
もう高杉とは普通の会話すら出来ないわ。
銀さんギブアップだわ…
覆い被さる高杉を見上げながら黙ってギュッと抱き締めた。
「疲れた。ちょっとこのままでいようよ」
「怒ったと想ったら今後は“甘え”に入るのか?見てて飽きねェよ銀時は」
ククッと笑いながら高杉は俺の髪を梳いてくれた。
高杉も遊んでたのか?
昔っからよく俺達喧嘩したけど、大人になってまで喧嘩しっぱなしかよ。
「……そーいや、なんで喧嘩してたんだろうな」
「………………さァな」
そしていつの間にか仲直りしている。
本当に
“喧嘩するほど仲が良い”
…ってな。
「高杉…」
「あァ?」
「今後…逢うときは着流しで…あの…」
完、
―――――――――――
この話しはバイトのレジに並んでいたお客さんから閃いた話し。
ラブラブなのに、彼女のオーバーオールに激怒した彼氏…
「俺これ嫌い。脱がせずらいんだよ」
「やだぁ、あたしはこれ好きなの(ハート)」
イチャイチャすんなや!!とか思ったけど、ふと銀さんが頭に浮かび、このグダグダ話しが完成みたいな…
オチがない………反省です。
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