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たった一人の君と私と(日向)


たった一人を好きになって、その人と結ばれるっていうのは、それはそれはすごいことだと思うの。

「名前、早くしないと置いてくぞ」
「え、ちょ、待ってよ、順平!」

……例えその相手に冷たくされたとしても。

「順平が今日は部活ないから一緒に帰ろって言い出したんじゃん」

それなのに先に帰ろうとするなんて!

「部活ねーとは言ったけど、一緒にって言い出したのは名前だろ」
「……そーだけどさぁ。」

部活ないなんて、一緒に帰ろうって言ってるみたいなもんじゃない。
冷えた手に息を吹き掛けながら、私はなんとなくむっとして反論する。

「じゃあ私が一緒に帰ろって言わなかったら順平は一人で帰ったの?」
「さぁな。」

そうやってすぐはぐらかすし。

「順平は、私たちが結ばれたってのがどれだけすごいことかちゃんとわかってる?」
「どした、急に。」

全然わかってなさそうな順平に、この際だから今このときがいかに素敵なことなのか説明してやることにした。

「人が何億といるこの場所で、」
「お前日本の人口知ってんのか」
「細かいことはいいの!……同じ時代に生まれて、同じ学校を選んで、同じクラスになって、私が順平を好きになって、順平が私を好きになって、」
「逆。」
「え?」
「逆。俺のが先。」

え、何?
どゆこと?

順平のよくわかんない言葉を脳が処理してる間に、手を掴まれる。

「俺のが先にお前のこと好きになったから」
「……」
「だから、ちゃんとわかってる。」

順平はこっちを見ないで(恥ずかしいからだと思う。絶対。)繋いでる手にきゅっと力をこめた。

「へへ。」
「……ったく。」

私も繋いだ手を強く握り返してやる。

「だアホ。」

手の冷たさはいつの間にかどっかにいってしまった。


::たった一人の君と私と::


(この奇跡を)
(君と、いつまでも)



--End

ネタは決まってたのになかなかキャラが決まらなかった……。
照れてそっぽ向く日向が好きです。


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