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この先行き止まり(黄瀬)



どうして、俺じゃないんだろう。

どうして、貴方じゃなきゃだめなんだろう。






「あ、先輩」
「おー黄瀬じゃん!これから部活?」

何声かけてんだ、俺。

「そうッス。先輩は?」
「図書室で勉強。幸男待ってようと思って。」

笑ってるあんたは好きなのに、なんとなく、いらいらする。
原因は、わかってる。

「相変わらずッスね。」

そう言って笑う。
ちゃんと笑えてるかは、わからないけど。

「あ、今日見たよ。そっちも相変わらずねー」
「何をッスか?」
「昼休み。また女の子からお菓子もらってたでしょ。」
「あぁ。」

名前も知らない子がくれたクッキー。
顔すら思い出せない。ただ、やけに高い声と小さな肩……そういやあのクッキー、まだ食ってないや。

「なんか不満そうね。もらっといて。」
「あ、いや、」

一番欲しい人からもらえない、なんて、

「何ー?お姉さんに話してみなさいよー」
「お姉さんってそんな変わんないじゃないッスか」
「そんなことないわよ。で、モテモテな黄瀬クンは何が不満なのかな?」
「……不満って……。いろんな子が、みんなケーキとかいろいろくれるんスけど、ある子だけくれないっつーか」
「え、黄瀬って本命いたの?!」

そんな驚かなくてもいいじゃないッスか。
それだけ俺を見てないってことッスか?
……それとも、俺が隠すのがうまいんスかね。

「そっか。なんでその子はくれないんだろーね。」
「さぁ?でも彼氏いるっぽいんで」
「っぽいって何よ、ちゃんとわかってないの?」
「まぁどっちにしろ、俺は眼中にないみたいなんスよ」

ね、先輩?

「ふーん。モテるやつにはそれなりの悩みがあるわけだ。」
「そういうことッスね。」

渇いた笑い。
なんで俺この人にこんな話してんだ。

「あんたも好きな子いるなら真面目にアタックしてみれば?」
「そッスねー。まぁ、それなりに。」
「そんなんじゃ女の子は落ちないわよ?じゃあ、私こっちだから。部活頑張ってねー。」
「あ、はいッス。」
「幸男によろしくねー。」


図書室へ向かうあんたの背中を、俺がどんな気持ちで見送ってるか、あんたは一生わからないんスよね。
俺、先輩と同じ顔で、同じ声で、同じ性格の子がいたらいいのに、なんてふざけたこと考えるぐらいには、先輩のこと、好きなんスよ?
でもそしたら、その子もきっと俺なんか眼中にないんだろうなとか考えたら、なんだかすごく馬鹿らしくなって、それでもこの気持ちは変わらなくて、なんだかわけわかんなくなって、唯一わかったのはもうすぐ部活が始まるってことで。

とりあえず、体育館まで走っていった。



::この先行き止まり::




--End



初・キセキ!
でも黄瀬は腹んなかでいろいろ考えてても表向きはいつも馬鹿みたいにうるさいイメージなんですが、そこの切り替えがうまく……orz
次は頑張らねば。

元ネタは、奥.華.子さんの恋という曲です。
割と好きな曲。ってかあの人の曲、結構好き。アルバム1枚しか聞いてないけど。

黄瀬には栄口と同じにおいを感じます。片想い的な意味で(笑)



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あきゅろす。
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