籠
甘い、甘い、(小金井)
「お、コガ。」
昼休み、弁当の前に飲み物を買いに行こうと廊下を歩いてると伊月に会った。
「おっす。伊月も自販機?」
「コガは?」
「俺も。」
そんな他愛もない話をしてると、どこからか甘い匂いが鼻をくすぐる。
なんだろ、この匂い……。
「伊月伊月、」
「どした、コガ?」
「なんか甘い匂いしない?」
「あー。あれじゃね?」
そう言って伊月が指差した先には、移動教室から帰ってきたらしい女子の集団。それぞれの手には可愛らしくラッピングされた包み。
調理実習か!そういやカントクもそんなこと言ってたな。
「あ!伊月くん!」
「え?」
「これ、食べてください!」
って、なんか伊月貰ってるし!
まぁ伊月はスタメンだし、顔もいいからモテるのもわかるけどね〜。ダジャレ好きだけど。
先に行こうか少し悩んでると伊月と目があって、「先行ってて」って言われた。んー、んじゃ、遠慮なく。
「コガー!」
「ん?お、苗字じゃん!」
伊月を置いてちょっと歩いたところで呼ばれて振り返る。
俺を呼んだのは、手提げ袋を持った苗字だった。
「どったの?」
「はい。」
そんな言葉と一緒に渡されたのは、赤いリボンが結んである小さな包み。
「え、くれんの?俺に?」
「うん。あ、コガだけだから他のみんなには秘密ね?」
「おう!サンキュー!」
「んじゃ、それだけだから。練習頑張ってね。」
「ありがとなー。」
弁当のあとに食べよーっと。あ、放課後用にちょっと残しとこ。
そういやなんか、いつもより苗字が素っ気ない気がしたけど、気のせいかな。
って早くしないと弁当食えなくなるっ。
包みの中に気づくのは、まだちょっと先の話。
::甘い、甘い、::
(小さなお菓子に)
(あなたへの想いを添えて)
--End
夢自体久しぶりだったのでちょっとリハビリも兼ねて。
理貴がくれた浜ちゃんに影響されて私も調理実習やってみた←
小金井との関係は皆さんのご想像におまかせします。委員会でも、去年同じクラスでも。
一度誠凛以外も書きたいなぁ。
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