籠
ラジオをつけてもいいですか(日向)
「順平には私の愛が伝わってないと思うのよねー。」
「は?」
幼馴染み兼彼氏(ついでに家もお隣さん!)・順平のベッドの上で私の毎週の楽しみであるラジオがCMになったときにそんなことを呟いてみた。
あまりに唐突だったみたいで、私に背中を向けてしてた勉強を中断して振り返る。
うん。絶対伝わってない。
「だってさ、私は毎日順平のクラス行ってるのに、順平から来てくれたことないしさ!」
「……。」
「飛び付いても冷たい反応しか返してこないしさ!」
「はぁ…。」
順平は面倒くさそうに大きくため息をついた。
反論が来るかと思ってちょっと身構える。
「っつーかラジオくらい自分の部屋で聞けよ」
今までの話全部スルーですか!
「だって今、私のやつ壊れてて聞けないんだもん。」
『続いては今週からの新コーナー!』
丁度そこでCMが終わったようで、パーソナリティが順平似の声で明るく喋り出す。
そういえばそんな告知をしてたっけなーと思いながらちらっと順平を見たら、もう勉強を再開していた。
(ちぇ。相変わらず冷たいやつ。)
『このコーナーは、好きな人に想いを伝えたいけど、伝えられない子の為に、俺が代わりに想いを電波に載せて伝えるコーナーです!』
(…これだっ!)
「ねぇねぇ順平!放送室って誰に言えば使わせてもらえるかな!」
「今度はなんだよ…。」
また面倒くさそうに順平が振り返る。
なんだかんだ言っても、話はちゃんと聞いてくれるんだよね。
「どうやったら順平に私の愛が伝わるか考えてたの。」
まだその話か、とため息をついてたけど、そんなの気にしないで話し続けた。
「で、とりあえず昼休みに全校放送で私の愛を叫ぼうと思って!」
「はぁ?!」
順平はかなり驚いた顔をしてから、今度はあ゛ーとか唸りながら呆れたように手を額にあてる。
「だアホ!」
「ひどっ!真面目に話してるのに!」
また盛大にため息をついてから(さっきからため息ばっかり!)、手招きされて、よくわかんないけどベッドから降りて順平のとこに行く。
横向きに座ってる順平の前に立って、何?って聞こうとしたら、順平に抱き締められた。
「やっぱお前アホだ。」
「だから、こっちは真剣に…!」
「そんでやっぱ可愛い。」
「は…?」
座ってる所為で、いつもなら見上げれば見えた順平の顔が見えない。
声も少しくぐもってる。
でも、確かに今、「可愛い」って言った…。
「え、え、何、どしたの?」
「おめーが伝わってねーとか意味わかんねーこと言うからだよ!」
いやいや、順平のがよくわかんないって。
とりあえず、私の愛はちゃんと伝わってるってこと?
小声で聞いてみたら、何も言わなかったけどそれが肯定だってわかったから、おもいっきり抱きしめ返してやった。
::ラジオをつけてもいいですか::
--End
初・日向夢!
当初花井で書いてたけど急遽日向に。
相変わらず名前は呼んでくれませんでしたが。
企画参加作。(しかも身内←)
お題から逸れた気がしないでもない。
第2段はあるのかしら?(誰
ヒロインはパーソナリティの声が日向に似てるから聞き始めたという裏設定もあったりする(←ただいれる場所なかっただけ)
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