野
すきものどうし(泉)
付き合うってのは、例外はあれど、基本的には好きな人同士が結ばれるってことでしょ?
「泉はさ、私のどこが好きなの?」
「は?」
放課後、日誌を書く泉の前の席に後ろ向きに座りながら訊ねると、泉は手を止めて顔をあげた。
「それ、俺がお前のことを好きじゃないって選択肢はねーの?」
「だって、泉は好きでもない子と付き合うなんてしないでしょ。」
「わかんねーよ?」
泉はちょっと毒舌なだけで悪い奴じゃないもん。
「で、なんかないの?」
「…例えば?」
続きを書き始める泉に答えを催促すると、そんな変な返事がきた。
「可愛いところとかー」
「自分で言うか。」
「こうやって、健気に日誌終わるの待ってるところとかー」
「別に頼んでねーし。このあと俺部活だから一緒には帰れねーよ。」
こちらをちらりとも見ずに飛んでくる冷たい言葉の数々。
流石の私もちょっとは傷つくんですけどー。
「じゃあどこが好きなのよ。」
「さぁな。」
はっきりしない泉の態度にちょっとむすっとしながら頬杖をつく。
「じゃあお前は俺のどこがそんないいわけ?」
「全部。」
また泉の手が止まった。
「足が早いところとか、可愛い顔して本当はかっこいいところとか、野球頑張ってるところとか、実は背低いの気にしてるところとか、それから、」
「……もういい。」
呆れたようにストップがかかった。
「まだあるんだけど。」
「いい。いらね。」
「えー」
「おら、もう終わったから行くぞ。」
「あ、ちょっと待ってよ!」
さっさと席をたった泉を慌てて追いかける。
耳が赤いのは気づかなかったことにして。
::すきものどうし::
(全部、)(え?)(なんでもねーよ。)
(そっか全部かー。私も愛されてるなー。)
(聞こえてんじゃねーかっ!)
--End
泉難しい……。
某人の多大なご仁力によりこれでも最初と比べたらかなりマシになったほうです。
元ネタは太陽の手を持つパン職人アニメの初代ED。あの曲大好き。
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