野
押してダメなら引いてまた押せ!(田島)
……おかしい。
もうお昼休みも終わりそうなのに、あいつが何もしてこないなんて…。
昨日まで出会い頭に飛び付くのなんて日常茶飯事だったのに、今日は話しかけてすらこない。
目が合えばすぐ逸らされるし、こっちから話しかけようとしたら逃げられる。
……。
考えてたらチャイムが鳴って、先生が入ってきた。
2時間連続の家庭科で、しかも丁度昼食後とあれば、真面目に授業聞く方が少ないわな。
田島も、授業中や私以外の人に対しては普段通りだし。
……あたし、避けられてる…?
なんで?何かしたっけ?
ここ最近を思い出して、田島に避けられるような理由を探しているうちに授業が終わった。
結局ノートは真っ白なままで、友達に見せてもらってる間にホームルームが始まってしまった。
なんだか今日はやけに先生の話が長い気がする。
「田島っ!」
「げ、苗字…。っごめん!」
やっと終礼が終わるとすぐ田島を呼び止めた。
けど、田島はあたしの顔を見るなり慌てた様子で走っていってしまった。
「頑張ってんなー、田島のやつ」
横から泉が話しかける。
「え?何か言った?」
「いや。なんでもねー。な、浜田」
「うぇ、俺?! あ、あぁ。そうだな…」
泉が浜田に話を振ると、浜田はなんだか慌ててから頷いた。
「なんか隠してない?」
「別に。おら、浜田。行くぞ。」
三橋!と大きめの声で三橋を呼んでから、泉たちも教室を出ていく。
結局わけもわからず、妙にいらいらしたまま家に帰った。
翌日。
「苗字ー!!」
朝、廊下を歩いてるといきなり後ろから衝撃を受けた。
転びそうなのをギリギリのところで堪えて振り替えると、田島がいた。
「苗字ー!」
「な、何?」
「やっぱこっちのがいい!」
「ちょ、え、何が?」
「おーおー。やってるやってる。」
昨日がまるで嘘みたいにいきなり飛び付いてきた田島と、わけわかんなくなってる私を見た泉が意地の悪そうな顔でそう言ってきた。
「え、やってるって何?なんなの?」
「たまには引いてみろって浜田がー」
やっと離れた田島が説明しだす。
けど、いろんなとこ省きすぎててよくわからない…。
頭に?を浮かべていると浜田がフォローしてくれた。
「いつも苗字苗字って押しまくってるから一日ぐらい引いてみろって言ったら、こんなことに。」
「なんでそんな話になってんのよ…。」
「だーって苗字全然俺のこと意識してくんねーんだもん!」
口を尖らせながら田島が説明する。
そんな理由で…。
「で、効果は?」
私は大きくため息をついた。
(気にして損した…)
ちらっと田島を見るとキラキラした目で見上げてくる。
「なーなー、どうだった?」
「…さーね。」
::押してダメなら引いてまた押せ!::
(やっぱりちょっと騒がしいほうg…(なんだよー!浜田の嘘つきー!)
(だからなんで俺?!)
(前言撤回。静かなほうがよかったかも…。)
--End
gd麺お題第2段!
一番のりだぜやったね!
なんだか久しぶりに夢書いた。
兄貴風吹かせて田島にレクチャーする浜田が見たかった。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!