野 ペン回し企画第二段 (田島ver.) 「お、苗字ー!!」 今は昼休み。 友達とお昼を学食で食べて、教室に帰ってきたところでそんな声。 それもかなり大きめの。 こんな教室でそんな大声出すのは一人しかいない。 「何、田島。っつーか声でかい。」 「なーなー、お前ペン回し出来っか?」 無視ですかい…。 心の声が漏れたのか、田島と机をくっつけてた泉に「あいつの声がでかいのはいつものことだろ。」って言われた。 それもそーなんだけど。 「で、なんだっけ。ペン回し?」 その辺の空いてる椅子を適当に引き寄せて、輪に入る。 泉と三橋の間に入れてもらった。 三橋は相変わらずぴよぴよしてる。オーラが。 「阿部がさー、朝一人でくるくるしててー、そしたらなんかみんなできるみたいでさー。」 「え、何?もう一回わかりやすく。」 「だーかーらー、」 「今日の朝練で阿部が部の日誌書くときにペン回してたらしくて、みんなでペン回しの話になったんだと。」 田島の言葉を遮って泉が代わりに話し出す。 その続きを浜田がつぐ。 「そしたらみんなできて、回せなかったのは、こいつと三橋だけだったらしくて、」 こいつ、といいながら隣の田島の頭をぽんぽんと叩く。 (なんか…。親子みたい。) 「なんだよ、みんなー。オレだってバットなら回せるぜー!」 「た、田島、くん。す、すごい、ね…!!」 「「いや、危ないから、それ。」」 私と泉がハモる。 確かにすごいし、田島らしいとは思うけど。 うーん。泉は二人のお兄ちゃん、って感じかな。 …っと、これじゃ話進まないし。 「最近はあんまやってないけど、多分できるよ。」 「マジで?!いいなー。」 「お、意外。」 「あ、泉…。バカ…。」 「す、すご、い…!!」 みんながそれぞれ反応を見せる。 浜田のはあくまで泉に対するものだけど。 「意外って何よ、意外って。」 「別に。そのまんま。」 「なーなー、どーやんの?!」 泉を遮って、田島が身を乗り出して聞いてきた。 どーやんのって聞かれても…。 「浜田ー、ペン。」 「なんで俺が…」 とかなんとかぶつぶつ言いつつも、ドラマの手術シーンの様に私が出した手の平に自分のペンを置く。 このへんがへたれというか、顔も中身も悪くないくせにいい奴止まりたる由縁だろうな。 ま、私はどっちにしろ好みじゃないけど。 「ペン回しなんて感覚だしなぁ。」 いつの間にか田島は自分のペンを取り出して、私の手元を凝視してる。 そこまで見られると逆にやりにくい…。 「だから、こう、中指でくるっと。」 言いながら自分のペンを回す。 それをじっと見てて田島は、今見たことを再現するように、言葉を反芻しながらペンを弾く。 「中指で、くるっと…」 指で弾かれたペンはそのまま田島の手から落ちる。 「できねー!なんでできんだよこんなん。」 「田島なら何回かやればすぐコツ掴めるって。」 そんじゃ、と、椅子から立ち上がり、もとあったところに戻す。 もう予鈴がなる。 みんなは時計を確認して、机を離した。 浜田にペンを返して、私は席につく。 5限目の授業中、斜め前に見えるあいつは珍しく起きていた。 ::ペン回し(田島ver.):: (苗字、苗字!できるようになったぜ!) (もしかして授業中ずっとやってたの?!) (おう。ってことでノート見してー。) (…バカ。) --End やっとこさ企画もの二つ目です。時間かかりすぎだろ、自分。でも書き始めたら、結構すぐ書けた← 我ながら一つだけ書いて企画倒れするかと思ったよ…。 ところで、これ、どのへんが田島の夢なのか教えてくださいorz← 私は次でラスト!がんがれ私! ……これ書きながら浜ちゃんに心揺さぶられましたが何か。 [*前へ][次へ#] |