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ペン回し企画第一段 (阿部ver.)


眠い。

只今5時間目。本当は数学の授業なんだけど、先生の事情により自習。
「自習」と聞いたときは誰もが喜んだ(もちろん私も例外ではなく)けど、そう簡単に自由になれるわけもなく。


目の前には数枚のプリント。

紙面にはところ狭しと並んだ、見るだけで嫌になるような問題の数々。


ただでさえ眠くなる時間なのに、こんなプリントを見たら。

(あー。寝そう…。)

でも残りの問題は明日までの課題にするとか言ってたし。



ちら、と隣を見たら、そいつも気だるそうに頬杖をついていた。
右手でシャーペンを器用に回しながら…。

「…すげー!!」

突然声をあげた私に阿部が不審そうに振り向く。

「阿部ってペン回しできるんだね!」

阿部は普段から寄り気味の眉をさらに寄せた。

「私何度やってもできなくてさー。ね!なんかコツとかないの?」

言いながら自分のシャーペンを回そうと試みるけど、うまいこと回らない。

「少し重めのペンだとやりやすいってよく聞くんだけど。…できないんだよねー。」

なんてぼやいてると、阿部はため息をついて一言。

「くだらねーこと言ってねーでプリントやれよ。」
「ちょっ、くだらないとか言うなし!くそぅ…。ちょーっと自分ができるからって…」

(…ん?待てよ…?)

もしかしたら、阿部のペンが回しやすいのかも!

「ねぇ!ちょっとペン交換して!」
「は?」

元に戻っていた(それでも寄り気味なんだけど)眉をまた寄せて、今度は片方だけあげるなんて技も披露してくれた。

「だから!私のペンが回しにくいんだよ、きっと。阿部のペンなら私も回せるかもしれないじゃん?」

ってことで、はい。と、阿部の机に自分のペンを置く。
阿部は溜め息をつきながら渋々私のペンを手にとった。
私はすかさず阿部のペンを取る。

いざ…!!と意気込んだ途端、視界の隅で何かが動いた。

「え、なんで?!」
「わざわざペン回しなんかでペン選ぶかよ。」

(…ってことは、これで私が回せなかったら、完敗?!)

いつから勝負になったのかわからないけど、余裕そうに私のペンを回してる姿がすごく悔しい。

よし!と再び意気込んで中指でペンを弾く。



くるん。



「回ったー!!見た?!回ったよね!!今!」
「あーはいはい。オメデトーゴザイマシタ」

明らかに心のこもってないだろう阿部の言葉も全く気にならない。
今はただ、ペンが回ったことが嬉しい。


やっぱりこのペンが回しやすいんだよ!

流石私!目の付け所が違うわ!



「ほら。」

と、大喜びしてたら、すっと手が出された。
意図がわからなくて思わず「へ?」って返したら「ペン」と言われた。

「ぺン、もういいだろ。そろそろプリントやんねーと間に合わねーし。」
「えー。折角初めて出来たのに…。」

もうちょっとだけ、とねだってみる。
今更プリントやったってどうせ時間内には終わんないし。

「じゃあ、もうやるよ。ソレ。」
「は?」
「だから、もうソレお前にやるよ。」
「え、いいの?!」



::ペン回し(阿部ver.)::



(お前、それじゃなきゃ出来ないみたいだし?)
(うっさい!!)



--End


そんなわけで(どんなわけだ)、人生2回目の阿部夢でした。
相変わらず名前を読んでくれません。私の力不足かorz

これ、タイトル通り企画ものです。
しかも合同だったりします(笑)
遥と一緒にペン回しをテーマにいろいろ書いてく予定です。
タイトルが手抜きで申し訳ない。
遥はちゃんと考えてるみたいですよ。

数学のときに「ペン回し得意なのは誰だと思う?」って選択式で聞いたのに、それぞれの反応を書いてくれちゃったのが発端。

本命を最後に取っておきたいんだけど、ちゃんと全部書けるかな…。

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あきゅろす。
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