野
たまには雨でも(田島)
雨粒が大きな音を立てて窓を叩く。
さっきまで小降りだった雨は、悠一郎の家に避難した頃から急激に強くなった。
「早く止まねーかなー」
窓の外をつまらなそうに眺めながら悠一郎がぼやく。
雨だと悠一郎の大好きな野球ができないからね。
「私はたまになら雨も悪くないけどな」
「えー!」
なんでなんでー!と窓から目を離した悠一郎が食いついてこっちを覗き込む。
「だってこうやって悠一郎とのんびりできるもん」
そういうと悠一郎はまだ納得できないのか、微妙な顔をした。
「野球頑張ってる悠一郎を見るのも好きだけど、大好きな悠一郎と一緒にいるのも好きってこ……うわっ!」
「俺も名前好きだぞ!」
言い切る前に悠一郎にのし掛かられ、バランスを崩して思わず倒れ込んだ。
ちょっと重かったけど、こんな日もたまにはありかなって思った。
::たまには雨でも::
(あー、でもやっぱ野球やりてーなー)
(私もしばらく雨はいいかな……)
--End
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