野
リセット(泉)
日曜日、珍しく部活がなくて彼女の苗字と出掛ける約束してたけど、雨が降ってきたから結局家ですごすことになった。
「あれー、何が違うんだろ。」
苗字はそんなことをぼやきながら目の前のパズルゲームを睨む。
俺はベッドの端に寄りかかって雑誌をめくる。
(なんでこいつ彼氏の家に来てパズルしてんだ)
「もっかいやり直しかー。」
ちらと目線を雑誌からあげると、苗字はボードにはめたピースをまた外していく。
ってかこれ何回目だよ。
「泉はさー」
「あ？」
また目線を下ろしたら、さっきまでパズルに夢中だった苗字が、相変わらずボードとピースを睨みながら話かける。
「人生やり直せるとしたらどうする？」
「は？」
「やり直すっていうか、生まれ変わったら、かな。」
生まれ変わったら、なんて。
「いやー、これ何回もやり直してたらさ、なんとなく。」
「まぁやり直したいって思うことはいくつかあるけど。別に、まだいい。」
「そう？」
「お前いるし。」
雑誌を読みながらさらっと言うと、苗字が振り返る気配がした。
目だけ上げると、苗字は一瞬目を丸くしてから柔らかく微笑んで、またパズルにむかった。
「私はいつ生まれ変わってもいいや」
「？」
「何回生まれ変わっても泉を好きになるもん」
::リセット::
(俺が好きにならない可能性は？)
(いいよ、それでも)
(私が勝手に好きでいるから)
--End
初・泉視点。
理貴の無茶振り(「泉夢書いて☆」)に答えてみました。
書きながら泉視点にしたこと後悔したけど、一発OKもらった！やったね！
ちょっと慣れてきた模様(笑)
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